第1話 ハヤトおにぃ、近すぎ警報!
夕暮れ時の孤児院の食堂は、ガキ共の笑い声とスプーンのカチャカチャ音でカオス状態だ。長テーブルの中央で、ミナがスープを飲むたびに「ん~、ちょっとしょっぱいかな?」と首をかしげる。その仕草に、食堂の男子たちが「ミナ、今日も可愛いな…」とチラチラ視線を送る。ハヤトは端っこの席で、パンをかじりながらそんな光景を睨む。
(ったく、こいつらミナのことジロジロ見やがって…。クソガキ共、飯くらい静かに食えよ。…いや、俺がこんなイライラすんのは、ミナが…その、めんどくさいからだ! うん、めんどくさいだけ!)
キサラギ・ハヤト、13歳。孤児院の最年長で、面倒見のいいリーダー…のはずが、ミナ絡みだとどうも調子が狂う。ミナは3年前、叔母の虐待から逃げてこの孤児院にやってきた。当時3歳のちっちゃなガキが「わたしっ!ミナです!」って叫びながらハヤトに突っ込んできた日から、なぜかハヤトの日常はミナ中心に回り始めた。あの無自覚な笑顔と「ハヤトおにぃ」呼びが、ハヤトの心をゴリゴリ削るのだ。
「ハヤトおにぃ!これ、食べてみる?」
ミナがスプーンにスープをちょこっとすくって、ハヤトにニコッと差し出す。距離、近すぎ。ハヤトの心臓がバクンと跳ねる。
「い、いらねえよ!自分で食え!」
ハヤト、顔をそむけてパンをガブッと噛む。
(なんでコイツ、こんな無防備に近づくんだよ…! スープの匂いまで…くそ、落ち着け、俺! ただの義妹だろ!)
そこに、乱入者が現れる。コウジ、孤児院のやんちゃ番長。ミナのサラサラのポニーテールに目を輝かせ、「ミナの髪、めっちゃ綺麗じゃん!ちょっと触らせてよ!」と手を伸ばす。コウジの目は、ミナへの片思いを隠しきれず、チラッとハヤトを挑発的に見る。
( コイツ…! ミナに近づきやがって。いつもミナのこと見てニヤニヤしやがるし、絶対なんか企んでる。許さねえ!)
「おい、コウジ!」
ハヤトが立ち上がり、コウジの手をガシッとつかむ。
「黙って飯食え。ミナに触んな。」
声は低く、目はマジで怖い。食堂が一瞬静まり返る。コウジ、ビビって
「う、うるせえな!別にいいだろ!」
と手を引っ込めるけど、ハヤトへの嫉妬で顔がちょっと赤い。
ミナがキョトンとした目でハヤトを見上げる。
「ハヤトおにぃ、びっくりしたよ〜。コウジ君、ただ髪褒めてくれただけなのに?」
その無垢な笑顔が、ハヤトの心をさらに乱す。
(コイツ、なんでそんな無防備に笑うんだ…! コウジのやつ、ただ褒めてただけじゃねえぞ! ったく、ミナを守るの、俺だけでいいよな…?)
「…大丈夫だったか?」
ハヤト、気まずそうにボソッと呟き、ミナの乱れたポニーテールを無意識に手でサッと整える。ミナの髪、柔らかすぎて指が一瞬止まる。
(内心: な、なんだこの感触…! やばい、落ち着け、俺! ただの髪だろ、髪!)
「ハヤトおにぃ、優しいね!ありがとー!」
ミナがパァッと笑って、ハヤトの腕にスッと抱きつく。ハヤト、完全にフリーズ。
「お、おい、離れろ、バカ!」と叫ぶけど、顔は真っ赤。食堂のガキたちが「ハヤト、赤いぞ!」「ミナの専属お兄ちゃんかよ!」と大爆笑。コウジだけ、ムスッとしながら「チッ、なんだよアイツ…」と呟く。
(コイツの笑顔、ほんと罪だ…。毎回こんな近くで笑われちゃ、俺のHP、ゼロどころかマイナスだろ…。でも、ミナがこんな風に笑ってられるなら、俺がコウジみたいなガキ共から守ってやる。…って、なんで俺、こんな必死なんだ!?)
夕陽が食堂の窓から差し込み、ミナの笑顔がキラキラ輝く。ハヤトは「クソガキ共…」とブツブツ言いながら、内心でミナの笑顔を脳裏に焼き付ける。コウジの嫉妬も、ガキ共のからかいも、全部どうでもいい。ただ、ミナが無自覚に振りまく「可愛すぎる攻撃」に、ハヤトの心は今日もフルボッコだ。
朝の孤児院は、ガキ共の「ご飯まだー?」「靴どこー!?」という叫び声で戦場と化す。ハヤトはリビングのソファにドカッと座り、ガキ共の世話係として「靴は玄関だろ、探せ!」と一喝。孤児院最年長の16歳、キサラギ・ハヤトは、こうやって毎朝クソガキ共をまとめるのが日課だ。…が、問題はそこじゃない。
( 昨日、ミナのあの抱きつき事件…まだ頭から離れねえ。コイツの笑顔、ほんと反則だろ…! いや、落ち着け、俺! ただの義妹だ! ただのめんどくさいガキ! うん、それだけ!)
ミナ、孤児院一の美少女が、リビングのテーブルで朝ごはんのパンをモグモグ食べてる。「ハヤトおにぃ、今日のジャム、めっちゃ甘いよ! 食べてみる?」と、ニコニコしながらパンにイチゴジャムを塗ったやつをハヤトに差し出す。距離、近すぎ! ミナのポニーテールが朝陽でキラキラ揺れて、ハヤトの視界にクリティカルヒット!
「い、いらねえ! 自分で食えって!」ハヤト、顔をそむけてコーヒーをガブ飲み。(内心: くそっ、なんで朝からこんな攻撃力高いんだよ! ジャムの匂いと…コイツの笑顔が…! 俺のHP、開始5分で半分以下だ!)
そこに、宿敵(?)が登場。コウジ、12歳、ミナにベタ惚れのやんちゃ番長が、取り巻きのガキを引き連れてドヤ顔でリビングに乱入。「おっ、ミナ! 朝から可愛いな! そのパン、俺にも一口くれよ!」とグイグイ絡む。コウジの目は、ミナへの片思い全開で、チラッとハヤトを「負けねえぞ!」と挑発。タケルが「コウジ、かっこいい!」「ミナ、惚れちゃうぜ!」と囃し立てる。
(コウジのやつ、またミナに絡みやがって! 昨日の髪引っ張り事件で懲りてねえのか!? コイツ、ミナのこと見てニヤニヤしすぎだろ! 絶対、ただのガキのイタズラじゃねえ!)
「おい、コウジ!」
ハヤト、ソファからガバッと立ち上がり、コウジの肩をガシッとつかむ。
「朝からうるせえぞ、ガキ! ミナのパンに手を出すな!」
眼光はまるで最終ボス。コウジ、ビビりつつ「なんだよ、ハヤト! ミナがいいって言えばいいだろ!」とムキになるけど、顔は嫉妬で真っ赤。タケルとリョウが「コウジ、負けるな!」「でもハヤト怖え!」と騒ぐ。
ミナがキョトン顔で首をかしげる。
「ハヤトおにぃ、コウジ君、ケンカしないでよ? ほら、パンみんなで食べよ!」と、ミナが自分のパンをちぎってコウジにポイッと渡す。その無垢な笑顔に、コウジが「う、うお、ミナ、ありがと…!」と赤面。ハヤト、内心で大ダメージ!
(なんでコイツ、こんな無防備にコウジに笑いかけてんだよ!? パンあげるとか、反則だろ! 俺の心、ガラガラ崩壊じゃねえか!)
「ハヤトおにぃ、ほら、コレ!」
ミナ、突然ハヤトの口元にジャム付きパンをグイッと突きつける。「コウジ君にあげたんだから、ハヤトおにぃも食べてよ!」とニコニコ。ハヤト、完全にフリーズ。「お、おい、近すぎだろ、バカ!」と叫びながら後ずさるけど、ミナが「えー、なんでー?」と追いかけてきて、パンをハヤトの口に押し込む! ハヤト、ジャムの甘さとミナの笑顔でHPゼロ!(くそっ、こんな甘え攻撃、耐えられるわけねえ! ミナの笑顔、近距離すぎる! 俺、心臓爆発する!)
リビングのガキ共が大爆笑。「ハヤト、顔真っ赤!」「ミナ、パン攻撃強すぎ!」「コウジ、完敗じゃん!」と大合唱。コウジ、ムスッとしながら「チッ、ハヤトばっかズルい…! ミナ、俺にもっとパンくれよ!」と絡むけど、ミナは「コウジ君、さっきあげたじゃん!」と天然でスルー。コウジ、「うぐっ!」とテーブルに突っ伏してダメージ。タケルとリョウが「コウジ、振られた!」「ハヤトの勝ちー!」とゲラゲラ笑う。
(コイツの無自覚な笑顔、ほんと凶器だ…。朝からこんなフルボッコくらって、俺のHP、マイナス200だろ。コウジのやつ、ミナに近づくんじゃねえ。ミナがこんな笑顔でいられるなら、俺が…って、なんで俺、こんな必死なんだよ!?)
ミナが「ハヤトおにぃ、今日も一緒に学校行こ!」とハヤトの服の裾をギュッとつかむ。その瞬間、ガキ共が「うおお、ハヤト、彼女みたい!」「ミナ、ハヤトの嫁かよ!」と大騒ぎ。ハヤト、「うるせえ! ただの義妹だろ!」と吠えるけど、顔はトマト級に赤い。コウジは「次は俺がミナと一緒に学校行くからな!」と拳を振り上げるけど、タケルに「コウジ、昨日も同じこと言ってたぞ!」とツッコまれて撃沈。
朝のリビングは、ミナの無自覚な「可愛すぎる攻撃」とコウジの嫉妬バトルで、今日もカオス全開。ハヤトのHPは、朝から見事にゼロだ!
はい、という訳で始めました。本編「光のハンカチ」のヒーローとヒロインがただイチャイチャするだけのラブコメ。アキトの話は?いや、作者はとにかくカッコよく仕立て上げた主人公のイチャラブが書きたいんじゃあ!(笑)この作品、コンテストとかに投稿しない、30話くらいで終わります。義兄弟ラブ、どうぞお楽しみください。