ゴトウ夫婦から話
ゴトウ夫婦は、旅人と村人たちの前で緊張した様子を見せながら説明を続けました。
「ノリはいつもおとなしくて、冗談を言っても笑ってくれる子だったんです。まさか、そんなに気にするとは思わなかったんです。」
旅人は冷静な表情でゴトウ夫婦を見つめ、続けて質問しました。
「具体的にどんな冗談を言ったのですか?そして、ノリが亡くなる前に何か変わった様子はありましたか?」
ゴトウ夫婦は顔を見合わせ、しばらく考え込んだ後、ゴトウ夫人が口を開きました。
「ノリが病気で苦しんでいるときに、『早く楽になればいいのに』とか、『あんたがいなくなったら村も少しは静かになるわ』なんて言ったことがありました。でも、本当に冗談だったんです…。」
ゴトウ夫は深く息をついて続けました。
「ノリの様子が急に悪化したのは、確かにその後でした。私たちはそれが原因だとは思ってもみなかったんです。」
村人たちはその話を聞いて顔を曇らせ、旅人はやや沈んだ表情でうなずきました。
「分かりました。ノリが亡くなったのは不幸な偶然かもしれませんが、このようなことが二度と起こらないよう、村全体で支え合うことが大切です。」
旅人の言葉に、村人たちは深くうなずき、ゴトウ夫婦も反省の色を見せました。村はこれから、より一層の協力と理解をもって、互いを支え合うことを誓いました。