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うろつく旅人
村人はうろつく旅人に声をかけた。
「あのー、どちらさんですか?」
旅人は、
「この集落で病死した青年のことで調査に来ました」
旅人の言葉に村人たちは驚いた顔をした。村人の一人が少し警戒しながら尋ねた。
「調査ですか?どこから来たんですか?」
旅人はにっこりと微笑みながら答えた。
「私は大学で民俗学を研究している者です。この地域の風習や歴史を調査しているうちに、病死した青年の話を耳にしました。彼の信仰や生活について知りたくて、ここまで足を運びました。」
村人たちは互いに顔を見合わせた。青年ののりが信仰していた十和田神社や彼の生活について話すことが、何かの助けになるかもしれないと考えた。
一人の村人が前に出て、旅人に向かって言った。
「それなら、私たちが知っていることをお話ししましょう。ただし、あまり騒ぎ立てずにお願いします。のりのことは村全体にとっても大切な思い出ですから。」
旅人は深く頷き、感謝の意を込めて村人たちの話を聞き始めた。