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〜プロローグ〜
四月某日
街は少しずつピンクに染まり始め、別れの季節も去り、新たな出会いの季節が始まろうとしていた。
歳の境目を決める数字も一つ大きくなり、遂に数字は最大の3を数えるようになった。
今日もまたいつもと同じ時間に同じ電車にのり、いつもと同じ時間に同じ駅に降り、いつもと変わらない道を歩き、あの巨大な箱へと足を運ぶ。日によってこの道が短く感じることもあれば、途方もなく長く感じることもある。
3年ともなれば、行事など全てが最後の経験となる。
喜怒哀楽何を感じようと、もう一回はない。
そう思うだけで何となく切なくなるのが、この世の摂理なのだろうか。
それぞれが心に多様な想いを抱きながら、今学期の始まりを告げるホームルームが今、始ま───
「今から皆さんには、異世界へと転生してもらいます。」