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第50話 でも、かわいいは正義だから!

 トムさんはホントにあたし達の家(ネドヴェト邸)に行ってくれたのだ。


 日蝕で全てが終わる。

 ならば、そうならないように動くまでとトムさんは言ってたけど、実際に動ける人はそんなにいない。

 ゆうげんしっこう(有言実行)出来るなんて、スゴイと思う。


 でも、ユナ(ユスティーナ)叔母様(ジャネタ)の姿は既になかったみたい。

 トムさんが屋敷の中に踏み込んだ時にはお母様がたった一人で残されていたと聞いて、胸が苦しくなってくる。

 ユナは意地悪なことを言うけど、お母様を大事にしてるのはホントだった。

 そんな彼女のとった行動は信じられないものだ。


 トムさんがお母様を保護してなかったら、お母様が無事だったかも怪しいと聞いた。

 それほどに邸内は酷い有様だったらしい。

 この世の生き物とは思えない気味が悪いのが、たくさんいたとも聞いてる。

 トムさんには感謝の気持ちしかない。


 でも、複雑な気分でもあるのだ。

 トムさんが噂の王太子殿下(トマーシュ)だったなんて、知らなかった。

 マリー(マルチナ)なんて、分かった瞬間、気絶しちゃったし。

 王太子殿下ということは第一王子だから、ロビー(ロベルト)のお兄さんになる。

 あたしも気絶しそうなくらいビックリしたもん……。




 お母様は無事だった。

 だけど、体はかなり衰弱してた。

 食べ物を与えられないで世話も一切、されていなかったエヴァ(エヴェリーナ)ほどは酷くないけど、きれいだったお母様がやつれてしまって、見る影もない。


 ユリアンはサーラを呼びにポボルスキー家に向かってる。

 エヴァとサーラでお母様を看病する為だった。

 エヴァの魔力を乗せた歌でサーラの癒しの力が強めると分かったからだ。


 屋敷を引き払った叔母様が向かった先も分かっている。

 セバスさん(セバスチアーン)が突き止めてくれた。

 場所はヴィシェフラドの郊外にある棄てられた神殿だ。


 離宮があるのとは正反対の北東の方角だった。

 北東の遥か先にワルショヴァがあるのは偶然なのかしら?

 消しても消しても湧いてくる黒雲のような不安で気持ち悪くなってくる……。




 廃棄神殿に向かうのはロビーとビカン先生。

 そして、あたしとあひる部隊に決まった。

 トマーシュ殿下も同行を申し出てくれたけど、おじい様(コンラート前国王陛下)に止められた。

 王位継承権を持つ三人が危険な地に赴いて、何かがあったとしたら、取り返しがつかなくなるからと説得されて、トマーシュ殿下は諦めた。

 その代わりに腕が立つ近衛騎士を護衛代わりに付けてくれるようだ。


 ロビーはホントに真面目で優しい人だと思う。

 王族としての務めを果たさなくてはいけないと考えて、トマーシュ殿下のもうだい?(名代) として同行するのかと思ったら、家族同然に育ったあたし達のことを案じての行動らしい。

 どこまでお人好し何だろう、この人は……。

 だから、優しいお兄ちゃんではなくて、好きになってしまったんだと今、気が付いた。


 ビカン先生も変な人だ。

 おじい様の息子で王弟で公子だったことにもビックリした。

 だけど、それ以上にあたしのことが心配だから、同行してくれるらしい。

 「君は目を離すと何をしでかすか、分からんからな」と言いつつも優しく、穏やかな目をしていたから、いつも通り口が悪いだけだと思う。

 あぁ、そういえば、ユナもそういう人だったと思い出した。

 意地悪なことを言うけど、ホントに怒ってるんじゃなくて、目は優しかった……。


 あひる部隊はあひる隊長にウトカという名前を付けた。

 「クワックワック」とどことなく、誇らしげな顔に見えるけど、見た目は赤い三角帽を被って、愛くるしい瞳で見つめてくる愛らしいモフモフした生き物にしか見えない。

 ロビーと先生にも「本当に大丈夫なのか」という顔をされたけど、「大丈夫よ。問題ないから」とはっきりとあたしが言えるかというと……言えない。

 でも、かわいいは正義だから!

 きっと何とかなるはず! いえ、何とかしてみせるんだから。

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