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こいこい!  作者: 通りすがりの丸腰ぷりん。
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プロローグ

フィクションです。

花札の細かなルール、役の制限は我が家で受け継がれてきたものなので違和感を覚える人もいるかもしれません、悪しからず。

作中の花札全国大会は予選も含めてオリジナルです。

場に落ちた札と自分の取った札、それと手札を確認する。

あと1枚……あと1枚、運が味方をしてくれればそれだけで勝利。


高レートポーカーでロイヤルストレートフラッシュを決めるべくスペードのエースを待っている時の気分だ。

まあ……ポーカーは遊び程度しかやったことがないし、金でも金じゃなくても、何かを賭けたこともない。危ない橋は渡らないのが1番だ。


「……どうしたんです、その顔。顔面蒼白をまさに具現化したような、見ていられない顔をしていますよ」

「……うるさい」


つい、素っ気ない態度を取ってしまう。

そりゃそうだ。……彼女のここぞという時の()()は、舐めてかかれるものじゃない。

僕は捨て札を1枚場に落とすと、山から1枚引く。


「あら、今度は嬉しそうな顔ですね……ポーカーならあなたはきっと大敗しますよ。私はポーカーも嗜むのです」

「好きに言ってろ。ポーカーなんざ風情も何もない」

「それは分かります。私も、あのゲームは性に合いません……妹にせがまれるので付き合いはしますが」


結局、その時は大役を完成させたものの、後半は全くと言っていいほど運が回ってこなかった。

……いや、彼女に運を吸い取られてしまったと言うべきか。

とにかく、全体を見た時、俺は大敗した。


「うふふ、花柳(はなやぎ)くんとの勝負はヒヤヒヤさせられます」

「結局1度も負けたことないくせに、何言ってるんだか。その運、俺にも回してくれない?」

「それは聞けない相談ですね。私は妹のポーカーに付き合ったり雑用をしたり、コツコツと徳を積んで運の貯金を作っているんです。そうやすやすとは貸しませんし、暴利でふんだくりますよ?」

「おお怖い怖い」


桜小路(さくらこうじ)いろは。

確かに彼女が積んでいる徳はおいそれと手を出せるものでは無い。この部活の部長に生徒会副会長、クラス委員長に雑務で駆け回る毎日……。

尊敬はするがまねは絶対にしたくない。


彼女が唯一ほっとできるのはこの時間だけじゃないだろうか。


「ずっと聞こうと思ってたんだが」

「なんでしょう? 私のスリーサイズでしたらそちらにある手帳に書いてありますよ」

「なんで自分のスリーサイズを記したものが手元にあるんだ……って、そうじゃなくて」

「あら、ではなんですか」


飄々と尋ねてくる。

彼女の場合、俺が本当にスリーサイズを知ろうとしてもまるでなんでもないように手帳を渡してくるのだろう。

あいつにとってBWH(バストウエストヒップ)BLT(ベーコンレタストマト)と同じくらい気にすることではないに違いない。

あの華奢な体に無駄な肉なんてそれこそ1gだって無いはずだ。


「毎日働き詰めなのに、なぜここに来る余裕がある?」


結局、本当に聞こうと思ってたこととは違うことを尋ねた。

聞こうとしてたことは……まぁ、そのうち聞けるだろう。


「私が花柳くんとの勝負を楽しみにする力で全力で仕事をおこなっているからですね。『ここで徳を積めば、またあの人との勝負で運が回ってくる』──そう思うことで仕事をやる活力も湧くというものですよ」

「なるほどな」


前者の理由は俺をからかうための冗談だろう。

この勝負の鬼は、徳を積むことに必死すぎやしないか。


「ところでどうです? もう1戦」

「付き合おう」


結局、これも俺は負けた。

この女、五光なんて役をいとも簡単に作ってしまう。これが徳の力か。


桐ヶ谷(きりがや)学園高等学校花札部。

全部員2名。

しかし強い。こう言ってはなんだが……このチートではないかと言うほど運が強い部長は言わずもがな、実は俺もそれなりに強いのだ。


名の知られていない、花札の大会。

それに出るには3人部員が必要。しかし見ての通り、俺たち2人しか部員がいない。

ここで俺は、彼女との勝負に大敗しながら、近頃建付けの悪い扉が開くのをずっと待っているのだ──。

プロローグなので軽めにしてみました!

初投稿なので勝手が分からず変なところもあるかもしれません……随時ご指摘頂ければ幸いです!

高校生活も忙しいためなるべく毎日投稿頑張りますが遅れてしまったらすみません……3日以上滞ることはないと思います!

こいこい!を是非よろしくお願いします♪

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