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4/10コミック1巻発売【完結】魔王様、溺愛しすぎです!  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
100章 幸せになろう

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002.もう一匹増えたぞ?『コミック1巻発売記念SS』

 ケットシーによれば、意思疎通は出来る。おおよそだが、鳴き声の意味も伝わるそうだ。両性具有だとしても、自家受精できるかは別の話だ。ケットシーとの間に子をもうけたとしても、それは新種のカウントに入らない。


「ルシファー! 見て! 変な獣見つけた!!」


 ぽんと空中に現れたルキフェルが、手にした獣を見せる。変な獣と表現されたのは、斑模様の動物だった。じっくり観察するルシファーの腕の中で、リリスが「おなし!」と叫んだ。


「ん? どうした、リリス」


「これ、おんなじ」


 言い直したら言葉が直った。同じだと指さす先には、斑模様の……ケットシーに似た獣がいる。ルキフェルが捕獲した獣と、ベルゼビュートの抱きかかえる獣はよく似ていた。斑模様のほうは、白をベースに黒と茶色が配色されている。


 ベルゼビュートの抱く獣は、虎模様だった。魔獣の虎とよく似た縞模様だが、全体に黒っぽい。虎は黄色や茶色が主流なので、それの色違いバージョンだろうか。


「うーん、似てるか」


 四つ足で「ニャー」と鳴き、毛皮に覆われて耳は二つ。鼻先には立派な髭があり、ツノはなくて尻尾が二本。特徴を後ろで記録するアスタロトは無言で口を開かない。新種の確定は魔王の仕事なのだ。もちろん調査や審査の手伝いを頼まれれば別だが、現時点では要請がなかった。


「アスタロト、似てると思うか?」


「そうですね。かなり近いと思います。この二匹を一緒にしてみたらどうでしょうか」


 同じ部屋で会話したり意思の疎通を始めるようなら、同族の可能性が高い。荒療治な気もするが、一理あるか。ルシファーはすぐに動いた。透明な結界を作り、中央にこれまた透明の仕切りを入れる。そこへ二匹をバラバラに放り込んだ。


 指先で示してひょいっと簡単そうに転移を使う。ルキフェルは魔法に興味を引かれたようで、目を輝かせて見守った。


「ルシファー、今の魔法あとで教えて!」


「構わないが、これはベールの真似で覚えた魔法だぞ」


「ベール? ちょっと聞いてくる」


 現れた時同様、ぽんと一瞬で姿が消えた。水色の髪が視界から消えると、やや寂しいな。華やかなピンクの巻き毛の美女は、獣がいなくなった胸元の毛を払っていた。服と肌に付いたらしい。魔法で消せばいいのに、何をやっているのやら。


「パパ、なかよし」


 ぐいっと呼び鈴の紐のように、リリスが髪を引っ張る。最強を示す純白の魔王も、リリス相手では形無しだ。鼻の先を伸ばしながら、どれ? と素直に覗き込んだ。結界の中央に入れた仕切りにぺたりと体を寄せ、二匹は身を寄せ合う。喧嘩する様子はないので、まずは仕切りを取り外した。


 簡単そうに行われているが、魔法のレベルとしてはかなり高水準だ。同じ材質の透明な結界を、一部だけ消す。残りを維持する。ルシファーや四天王だから簡単にこなすが、魔族の中でも同等の魔法を使えるのは限られた一握りだった。


 ニャーと互いに鼻先を触れ合わせ、くんくんと匂いを確認する。それから互いの毛皮を舐めて、親愛の情を示し始めた。同族の可能性が高いな。


「同族かどうかの判定って、どうするんですの?」


 考えることが嫌いなベルゼビュートの質問に、ルシファーはリリスの黒髪を撫でながら答えた。


「一緒に生活させて、子を成したら新種の同族でいいだろ」


 確認に長くかかるが、そもそも八万年以上生きたルシファーにしたら瞬きほどだ。数十年くらい様子を見ても全く問題ない。新種と勝手に断定して、あとで取り消すのはバツが悪いからな。にやりと笑うルシファーに、アスタロトも同意した。


「以前のように間違えたと発表するよりマシでしょう」


「……うるさいぞ」


 過去の失敗をネチネチと……。唸るように吐き捨てたルシファーの髪が、ぐいと引っ張られた。


「いててっ」


「なかよく!」


 リリスに諭されたルシファーは、苦笑いして頷いた。

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