表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

『りゅうくん』

20161114

一部のみ加筆

りゅうくんはほんとうはたつやくん、というな前です。

でも、じこしょうかいの時に、「おれのたつはりゅうのたつだからりゅうってよんでください!」と言っていたので、みんなりゅうくんとよんでいます。


わたしは、そのじこしょうかいを見ながらばかなひとだなぁ、っておもっていたけど、そのわらったかおからふしぎと目がはなせませんでした。

たぶん、ひとめぼれだったんだとおもいます。


私はじぶんの恋を感じてからがんばりました。

りゅうくんが好きなサッカーのルールを学ん、走るのもたくさんしました。

りゅうくんが好きな給食の時にとうばんだった時には、少しだけたくさん入れてあげました。

そうするとりゅうくんが私の名前をよんで、ありがとな!って!


その時の気持ちと言ったらもう、このまましんでもいいとおもいました!

りゅうくん!りゅうくんが私の名前をよんだのです!


 でも、しんだらりゅうくんにあえないのでしなないことにしました。


そういう風に私はゆっくりと、ゆっくりとりゅうくんにきにいられるようにがんばりました。

そうすると今まで見えてなかったことが見えてきます。りゅうくんは、とても女の子に好かれるのです。


でも、私がいちばんでした。

いちばんちかくに私が!いました。


お昼やすみも、ほうかごも、土ようびも日ようびも。

私はりゅうくんといっしょにいることがおおかったです。


けれど、まんぞくはしていませんでした。

だって私は、りゅうくんのお嫁さんになりたかったからです。


それが私にとっての一番だったからです。

でも。でも。夏休みのあと、9月に入ると、あの女が来ました。


すっかりそのころには日焼けした、私とはちがう、白いはだで、かみが長くて、おしとやかな女が、てんこうしてきた。


――やさしいりゅうくんは先生にたのまれて私といっしょに女のこを見るようになりました。


そうするとりゅうくんは近くにいた私じゃなくて、女をきにするようになりました。


どうして?私がずっとそばにいたのに。

どうして?私にそんなかおを赤くしなかったのに。

りゅうくんは、あの女を、好きになってしまったのです。


それは、がまんできないことでした。


でも、そのころになると、私も女の子とは友だちとみられるようになっていました。

りゅうくんのことさえなければ、私はかのじょのことを好きでした。


でも、りゅうくんに、好きな男の子に好かれる女の子とどうして友だちになれるんでしょう。


ある日のかえりに。私は、女の子に「友だちになろう」と言われて、その手をたたきました。

りゅうくんは、それを見て、とてもきずついたかおをしました。


その時、私の頭がひらめいたのです。


りゅうくんをすきにさせるのではなく、りゅうくんをほねぬきにすればいいんだ、と!りゅうくんのめのまんなかにわたしだけを写すようにすればいいんだ、と!


どうしてこんなかんたんなことを思いつかなかったんでしょう!


りゅうくんさえ手に入るなら、それいがいはそれほどだいじではありません。


りゅうくん。りゅうくん。


わたしは、きずついたかおをしたりゅうくんにこえをかけました。

なんだよ。すねたこえ。


わたしは、その口に、キスをしました。

りゅうくん。大好き!


りゅうくんは、かおを赤くして私を、私だけを見ます!

もう、女の子が好きなことなんてわすれたように、私をみています!

それはなんて!


『――りゅうくん? なにをみてるの?』

妻の声が、耳元でした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ