表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

Spice with armoredgirl

順不同です


20150424

香辛料の用途は多岐に及ぶ。それは香水であったり、肌にすりこむ乳液に浮かべるなどの美容に関してはもちろん、食料の保存や面白い所では恋の薬に使われたりもする。

 香辛料は軍需物資であり、嗜好品であり、薬効物資であり、富の結晶体であった。

 胡椒一粒は同じ大きさの砂金に匹敵し、さらさらの香辛料は夏空に写る天銀の河の如し。たっぷりの瓶に詰まった香料も忘れてはならない。これは倍の金塊へと売りようによっては変化するのだ。


 右天秤に落ちる香辛料と左天秤に落ちる硬貨のエンブレムはスパイス取扱い認可の証。それを誇示する様に幌へと縫い付けた馬車は護衛も無く順調に次の市街へと――


「疑問。これは何? 」

「あん? そらお前……って何エプロシカの瓶開けてやがんだよこの野郎! 」


 順調には進んでいないようだ。怒鳴っているのは手綱を握っている商人らしき男。その頭には冠の如く黒く長い三角の耳が戴かれており、一目で人ならぬとわかるほどであった。


「反駁。私は女性形であり、野郎は不適切。訂正を要求する」


 むっとした無表情で反論するのは男の黒い耳とは対照的な淡雪の如く光をすり抜ける肌をした少女。


「良いからその瓶のコルクをさっさと詰めろって!あああもったいねえ……! 」

「疑問。 ――訂正は?」

「申し訳ありませんでしたお姫様! さっさとコルクを戻してくれやがりませ! 」

「肯定。」



 ぱん、と勢いよく戻されたコルクの勢いは余すところなく瓶に伝わり、罅となってぱりんと大本を砕け散らせた。中身事。



「ああああああああ!!! 」


 黒毛の尻尾をぴんと立たせた商人は絶叫しながら手綱を固定し、少女の胸ぐらをつかんでぶんぶんと振り回そうとして重そうな荷物を持ったようによろめいた。即座に足を踏み抜き憮然とした雰囲気で少女は蹲る男を見下して、一言。


「――失礼。」

「いきなり足踏み抜く機巧人間アーマードヒューマンも大概だと思うんだがな……! 」


『Spice with armoredgirl』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ