095 敢えて難しい道を往く
1軍に上がるためには何が必要なのか、それは火を見るより明らかである。1軍に必要とされている戦力になる事だ。本来組織で必要とされている人間は給料以上の活躍をしている選手なので、それだけ頑張ってプレーをする必要性が出てくる。無論、それが出来ないからこうして話し合っているのだが。
「チビちゃんは遊撃手として1軍出場を目指しているのね。私も昔は遊撃手のポジジョンで頑張っていたけど、もう無理ね。二塁手として頑張るしかないようだわ」
遊撃手は守備を求められがちだが、実際はそうじゃない。もっとも5ツールプレイヤーの称号に相応しいのは遊撃手のポジションだ。かつて20世紀には鬼崎喜三郎という名前をした最高の5ツールプレイヤーが存在していたが、彼もやはり遊撃手のポジションがメインだった。なのでチビも1軍で試合に出る時は遊撃手として出場していたいと思っていた。それに背が低くてすばしっこいチビには運動神経の有無が問われる遊撃手が最適だった。それに守備力では十分1軍でも通用するとお墨付きをいただいているので、このまま前進を続けたいと思っていたところである。
「そうですね。僕は遊撃手のポジションとして1軍に出場したいと思っています。でないと、せっかく練習した意味がありませんので……それに打撃がちょっと悪くても遊撃手なら見逃してもらえそうです」
ところがそうもいかない。今の時代、遊撃手には一番運動神経が良い選手が集まっているので身体能力が恵まれた選手がひしめいている。遊撃手戦国時代に突入していると言っても過言では無い程の勢いである。なので1軍定着には一番難しいとされるポジションなのだが、やはり男ならば難しい環境に置かれていた方がより力を発揮する筈である。




