009 生活習慣の向上
それからというものの、チビは生活リズムを変えようと決死の努力を続けた。練習も夜の20時には終わらせて寮に帰るとすぐに食事を済ませて風呂に入る。それから最低限の家事を済ませてから趣味の時間を費やすと、時刻は0時を周ったところだ。練習時間を2時間減らす事で、寝る時間を捻出する事が出来たのだ。
こうしてチビは0時には毎日寝るようになった。すると彼は見違えるように良い顔色になったと思うと、二軍成績も徐々にだが上向きになっていく。2時間も練習時間を減らしたにだ。まさにミラベルの言う通りだろ思ったチビは、練習帰りのミラベルに声をかけた。
「ミラベルさん!」
必死に走ったのでチビの息は荒い。
「あら、チビちゃんじゃない。最近調子がいいね」
「そうなんですよ。ミラベルさんに言われた通り0時に寝るようになってから成績が良くなりました。もう自分でもビックリするぐらいに!」
と言っても、打率.077が打率.158に上がっただけなのだが、それでも成長している事には変わりがない。
「良かったじゃない。その調子で頑張れば1軍昇格も近いわね」
そうなのだ。1軍にあがるかどうか明確な答えはない。ようは1軍監督に気に入られるかどうかなので今のひたむきな姿勢を見せていれば結果はどうあれ必ず1軍に上げてくれる。そのためには活躍するところを首脳陣に見せなければ話しにならないのだが。
「はい。頑張ります!」
猫耳も立ったままだ。今までは寝不足で猫耳が垂れていたのだが、今はもう元気が有り余ってビンビンである。
「そうこなくっちゃ」
「僕もミラベルさんのようにいつか2000本安打を打ちたいです」
「そうね……チビちゃんならきっと到達出来るわよ」
そう言いながら、ミラベルが頭を撫でてきたので、チビは無上の喜びを感じながら、両頬を真っ赤に染めるのだった。