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087  努力とは満足感を得る最高の手段である


 人間はいつか滅びの運命を迎える。生物として生まれたのだから命が尽きるのは運命だと言っても過言では無いのだ。22世紀を迎えて超科学を手に入れた日本人も例外では無かった。寿命は昔よりも幾分も増えたが、依然として無限の命などおとぎ話に過ぎない。それは人化したチビも同じだった。野良猫よりも寿命が延びたのは言うまでもないが、それでも人間の寿命はあまりにも短い。知的生命体にも関わらず、地球に住んでいる生物の中では一番の寿命な訳でもないのだ。だからこそ、死ぬ前までに人間は満足感を覚えなければならない。しかも人間の体は脆くいつ死ぬか分からない状態にある。だからこそ、一日一日を最高な気分で迎えないといざ天国なり地獄に行く寸前になって悲しくなってしまう。まだやりのこした事があったろうにと。だからそんな風にはならないように、チビは毎日の努力を忘れない。努力さえしていれば最低限の自己満足は出来るからだ。自分のためにやっている努力は平気で裏切ると過去のアスリート達は言っていたが、チビにとってはまるで関係の無い話しだ。大切なのは汗を流して全力で一日を過ごすのが大事なのだからチビにとっての努力とは満足感を覚える手段に他ならないのだ。


 そのため、チビは無用なストレスを溜めずに二軍暮らしを満喫している。今の日本野球はメジャーリーグに匹敵する過酷なスケジュールを組み込まれているため、根を上げる選手は結構な数を占めている。特に二軍の環境は劣悪であり、冬場にも夏場にもエアコンなど用意されていない。ロッカールームも掃除しておらず、監督やコーチすらも練習に参加しない。こんな状況では意味のある選手生活を過ごすのは難しい。だがそれでも、チビは満足していた。もしも結果的に芽が伸びずにチームを解雇されたとしても悔いのない時間を過ごせたと言えるだろう。チビはそれほどまでに精神的に強い男なのだった。



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