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082  お姉さんの魅力


 まず、チビが取り組もうとしている練習はマラソンだった。2軍での過酷なシーズンを終えた感想はまず、自分の体力は思っている以上に少なかった事である。シーズンの終盤にはあまりの体力不足に体が悲鳴を上げており、動機や眩暈をしてしまう程だった。そんな状態で試合に出場していても戦力にならないのは当たり前であり、結果的にマラソンで体力を上昇させるのが一番だと気が付いたのだ。しかも練習場にはミラベル以外の2軍選手は誰もいないので、ほとんど貸切状態で使うのも可能だ。さすがに1流選手を誘って一緒にマラソンをする勇気は無かったので、チビは自分だけでマラソンをしようとスタンバっていた。するとそこにミラベルが現れて、自分もマラソンに参加すると言うのだ。これにはさすがのチビも吃驚したのだが、せっかく気を遣ってくれたのにその気持ちを無下にする訳にはいかなかったので即返事を出して『OK』だと伝えたのだった。


「走り込みはスタミナを増加させるための基本だわ。基本から逃げ出さないのは優れた選手の証よ。さすがオチビちゃんね」


 元々チビは大人のお姉さんが大好きなので、ニコニコと話しかけられながら、おまけに褒められるのはチビも嬉しさを隠しきれない。猫耳をピンと上空に向けたと思うと、まだそこまで走っていないのに両頬を紅潮させていた。それぐらい、年上のお姉さんの魅力は凄まじいのだ。決して同級生には持っていない色気と可愛らしさを兼ね備えていて、年下の子供達を魅了してくる。しかも彼女達は自然にそれを醸し出しているのだから、そこがいい。


「シーズン終盤になってから自分でもスタミナ不足だと気が付きました。これじゃ1軍に上がっても体力が続かないと思ったので、こういてマラソンをしようと思ったのです」


 まるで、面接官に話しかけるような口調になっているが、これは仕方がない。理想のお姉さんを前にしているのだから緊張して当然である。あまりにも可愛らしく、それでいて色気が凄まじいので普段真面目なチビも興奮を隠しきれないのだった。



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