075 プロセスを徹底的に追及する
アスリートは自分の信じている行為を徹底的に突き詰めて、そこに価値を生み出す作業を延々と繰り返している。つまり、意味の無い練習方法を取り組まないように余計な部分を排除しながら、努力を続けている。その法則を知ったチビは「自分も彼等のように真似してみよう!」と決意して、朝5時に起きて早朝マラソンをした後に自身のフェイスブックに成果を書き込む。ツイッターでは無く、フェイスブックを利用して皆にアピールしているのが意識高い系を彷彿とさせる点だ。しかし、チビ自身は自分が意識高い系だと気が付いていないので、恐らく飽きるまで自分のアピールを続けるだろう。と言っても、別に自分のアピールはなんら悪い事ではなく、むしろ誰かに視て貰えるチャンスでもあるので積極的にやった方がいいのだ。ところが、度が過ぎてしまうとこれまた大変な事に発展する恐れもあるので十分に注意が必要である、特にネットを経由して自分をアピールする行為は危険性も高まってくる。チビのようにテレビに顔が出て当たり前のプロ野球選手ならば話は別だが、一般人がフェイスブックを使って自分の本名を晒したまま自己アピールをしてしまうと、やはり大変な事が起きる危険性は高まってくるので注意は必要になってくる筈だ。
そしてチビは、いつものように努力を続けている。今年が始まってもう10日は過ぎているが、それでもチビの手は緩まない。自分の思い描く理想の自分に一歩でも近づくためにプロセスを大事にして入念に自分を高めようと必死の思いで練習の日々に明け暮れる。その姿勢は他の選手も真似すべきなのだろうが、残念ながらチビと他の選手では身体能力に違いがあり過ぎる。チビの同僚でカンガルーを擬人化させたパコは、一塁までジャンプして到達する一種の特殊能力を持っている程の身体能力なので、ホームランボールを軽々キャッチするすご技を習得している。しかもそれは生まれ持った才能なのでなんの努力もせずともホームランキャッチをやって見せるのだ。しかしパコとは裏腹にチビはただ体が頑丈なだけの野良猫、誰も彼に期待などしておらず終いには競馬界のハルウララ的なポジションとして憐みの目で見られる始末だ。こうなってくると、普通の選手ならば「俺はもう駄目ぽ」と諦めムードを一心に背負って不のオーラに満ち溢れた野球生活になりがちだが、チビは違う。弱気になったら駄目だと常に自分を鼓舞しながら努力を続けているのだった。




