表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/107

075  プロセスを徹底的に追及する


 アスリートは自分の信じている行為を徹底的に突き詰めて、そこに価値を生み出す作業を延々と繰り返している。つまり、意味の無い練習方法を取り組まないように余計な部分を排除しながら、努力を続けている。その法則を知ったチビは「自分も彼等のように真似してみよう!」と決意して、朝5時に起きて早朝マラソンをした後に自身のフェイスブックに成果を書き込む。ツイッターでは無く、フェイスブックを利用して皆にアピールしているのが意識高い系を彷彿とさせる点だ。しかし、チビ自身は自分が意識高い系だと気が付いていないので、恐らく飽きるまで自分のアピールを続けるだろう。と言っても、別に自分のアピールはなんら悪い事ではなく、むしろ誰かに視て貰えるチャンスでもあるので積極的にやった方がいいのだ。ところが、度が過ぎてしまうとこれまた大変な事に発展する恐れもあるので十分に注意が必要である、特にネットを経由して自分をアピールする行為は危険性も高まってくる。チビのようにテレビに顔が出て当たり前のプロ野球選手ならば話は別だが、一般人がフェイスブックを使って自分の本名を晒したまま自己アピールをしてしまうと、やはり大変な事が起きる危険性は高まってくるので注意は必要になってくる筈だ。


 そしてチビは、いつものように努力を続けている。今年が始まってもう10日は過ぎているが、それでもチビの手は緩まない。自分の思い描く理想の自分に一歩でも近づくためにプロセスを大事にして入念に自分を高めようと必死の思いで練習の日々に明け暮れる。その姿勢は他の選手も真似すべきなのだろうが、残念ながらチビと他の選手では身体能力に違いがあり過ぎる。チビの同僚でカンガルーを擬人化させたパコは、一塁までジャンプして到達する一種の特殊能力を持っている程の身体能力なので、ホームランボールを軽々キャッチするすご技を習得している。しかもそれは生まれ持った才能なのでなんの努力もせずともホームランキャッチをやって見せるのだ。しかしパコとは裏腹にチビはただ体が頑丈なだけの野良猫、誰も彼に期待などしておらず終いには競馬界のハルウララ的なポジションとして憐みの目で見られる始末だ。こうなってくると、普通の選手ならば「俺はもう駄目ぽ」と諦めムードを一心に背負って不のオーラに満ち溢れた野球生活になりがちだが、チビは違う。弱気になったら駄目だと常に自分を鼓舞しながら努力を続けているのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ