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061  先人の知識を吸収する


 2軍戦で結果だけを残せば昇格できるというのは幻想だ。ほとんどは1軍選手が怪我をした時のバックアップ要因として昇格されるだけであり、怪我人が復活すればまた2軍に逆戻りというのがほとんどである。特に2軍の帝王と呼ばれる選手は怪我人が出た時にしか呼ばれないので辛いものがある。期待の長距離砲として入団した選手が、いつの間にか2軍の帝王になって信頼感を失われていく様を見るのはとても苦々しく感じるし、正直言うと周りの人間もそこまで期待していない。しかも2軍の帝王のほとんどが、太り過ぎなどの管理不足で怪我をして、長い間1軍に出場できないから我慢して使って貰えないというのだから救いようがない選手も大勢いる。その点、自分は最初から誰にも期待されていないから気軽に出来ると、なかばヤケクソになってポジティブシンキングをするチビだった。人間のほとんどは心底がネガティブなので、前向きになるためにはポジティブな事を考える必要がある。これはチビが崇拝しているAKIRAにも当てはまることであり、彼の自伝を見ながら結果が出ない時に何をどうやって考えればいいのかと、AKIRAの前向き精神を吸収しようと彼の自伝を食い入るように見つめる生活が最近の主流となっていた。先人が残した知識を取り入れて、野球をするのはとても大切な事だと実際に彼の本にも書いてあるので、そうしようというのだ。


 そしてチビは毎日のように本を読んでいるので、周りからは「本の虫」とまでに呼ばれるようになっていた。移動の最中もそうだが、トイレに行く時や風呂に入る時にまで本を持ち歩いているので、そうした仇名がつけられたようだ。チビからしてみれば、本が読めればそれでいいと思っている節があるので、自他共に認める本の虫という訳だ。しかしだからと言って、本ばかり読んでいても選手として成長出来ないので、きちんとした鍛錬を欠かせない事を熟知していた。朝は早く起きてランニングをして体を温める。そして朝食を食べ終われば寮から出て素振りをするという感じの練習を毎度のようにこなしていた。



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