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057  2軍の実態


 チビの練習方法はとても単純で、野球選手ではなくても出来るようなメニューばかりだ。それはやはり2軍という劣悪な環境にいるからこそ、誰にも練習方法を教えて貰えないのが原因だった。他の選手がまるでやる気の無いのが影響しているが、合同練習などもっての他で、まず有りえない。守備ノックなど入団してから一度たりともしていないので、1軍がどれだけ恵まれているかが分かる。なんせ2軍のコーチや監督は名前ばかりの役職であり、プロ意識がまるで足りていない。ほとんどがベンチに座ってお菓子を食べながらロクな采配をしておらず、コーチに至っては中継ぎを酷使して疲労困憊にさせるのがお得意のようだ。これではロクに選手が育たないのも当たり前だった。それぐらい、1軍と2軍は天国と地獄のような差があるので皆が1軍に這い上がろうと努力をしている。当たり前だが1軍には寮に食堂があって美味しい食べ物を食べられる。それも無料でだ。近年のプロ野球経済を潤いに潤っているので、1軍の選手達は無料で食べられるという訳である。ところが、2軍の選手は食堂で食べられるのは日の丸弁当だけであり、飲み物に至っては井戸水というのだから嫌な気分になる。だがだ。それでも有望な2軍選手になると特別な食事が許されるというのが現状だ。そういう意味では、チビのような将来性の低い選手は当然ながら日の丸弁当と井戸水が出される。しかも井戸水は有料だから金が無ければ水無しで弁当を食べなければいけない。練習や試合が終わって喉がカラカラの状態で水無しというのはめちゃめちゃ辛いだろう。


「いただきます」


 チビはランニングから帰った後、日の丸弁当と井戸水を手にして食事をしていた2軍選手はロクに給料がもらえないので仕方ない事かもしれないが、やはり梅干しと銀シャリだけでは辛い。ミラベルと黒毛和牛の店に行った時はとても幸福感に溢れていたが、そもそもチビ一人ではコンビニに行くのがやっとの状態だ。他の店は2軍選手お断りの看板を掲げている店ばかりなので、ミラベルが誘ってくれなければ飲食店に行く事すらままならない。それが2軍選手の現状だった。



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