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043  余計な気の遣いは無用


 チビの仕事は野球である。ということは、学生のように楽しく試合をしようとする考えだけでは思考が足りなくなる。その辺りをミラベルとお話ししようと思っていた。せっかく2000本安打を達成した伝説の選手が目の前にいるのだからその考え方を吸収するのが一番だと考えたからだ。技術や体力などは絶え間ない努力次第でなんとでもなるが、精神力だけは努力ではなんともならない。だが、誰からの一言で精神力が向上したりするのが面白いところだ。それこそ伝説の選手にモチベーションをどうやって維持しているのかなどを聞けばコミュニケーションもとれるし一石二鳥である。


 焼肉屋に来ているので二人は肉を焼いていた。勿論、これは後輩の仕事なのでチビは自ら率先して肉を焼こうとした。だが、ミラベルは「ストップ」と言い、肉を焼こうとする自分の手を握って止めてきた。柔らかい肌でとても心地よい……などと思っている暇は無い、それよりも何故ミラベルは制止してきたのかと疑問に思うところだ。疑問に思う事が恋愛感情よりも上回ってしまうのは良くない。これがデートなら話は別だが、所詮は仕事の延長線に過ぎない。個人的な恋愛感情など持ち込んでは駄目だと、必死に頭の中で言い聞かせるチビだった。


「どうしたのですか。僕がお肉焼きますよ」


「いいのよ。本当のプロは自分で肉を焼くから」


 そうなのだ。心の底から焼肉を好んでいる人物は決して他人に肉を焼かせない。自分好みのタイミングがあり、その美味しい焼肉を後輩達にも食べさせたいという欲求がある。それは母性本能に似た感情だろう。その事を知らなかったチビは余計な気を遣ってしまったとショボクレテしまう。このように人を見て気を遣わないと過剰になってしまうので注意が必要だ。



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