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041  素振りの成果


 結局、その試合でチビは四打数四安打の固め打ちをし、見事猛打賞に輝いた。練習相手がいないという状態で、一人で素振りをした成果が現れたようだ。がむしゃらにバットを振り続ける事でスイングスピードが上昇し、コンパクトでありながらも内野の頭上を越えた打球が増えたのだ。チビは元々握力が30程度しかないのでパワー不足を首脳陣から指摘されていた。しかし、野球は必ずしもパワーが直接野球選手として成功するための条件とは言えない。むしろ、ヒットやホームランを打つために必要なのはタイミングだ。そのタイミングを日々の素振りで習得したチビは見事スランプから脱出できたという訳である。


 試合終了後、ミラベルから誘いがあったので二人は公園に来ていた。ここは野球選手のみならずサッカー選手やバスケットボール選手も良く利用しているジョギングコースがあり、練習にはもってこいの公園である。阪海の英雄として知られるAKIRAもしばしばこの公園を利用していたらしい。それが影響して、公園の入り口にはAKIRAの銅像が置かれているのだ。


「まさか、ミラベルさんからお誘いがあるなんて想像もしていませんでした」


 チビとミラベルは軽く走りながら会話を交わしていた。試合が終わった後にも練習するのはまさにプロ野球選手としての鏡である。野球選手は野球に関わる時間が以外にも少ない。試合を含めて日々の練習時間は5時間程度であり、残りの19時間は自由に使う事が出来る。それこそ監督やコーチのお気に入りならば休む暇もなく練習のスケジュールを組まれているだろうが、そうじゃない選手はかなり暇だ。この暇な時間を更に技術を向上させるための努力に使うか、趣味に費やすかは選手の勝手である。そんな中でチビとミラベルは努力のために時間を活用しているようだ。


「今日はチビ君の猛打賞記念に奢ってあげようと思ってね。勿論、練習が終わった後によ」


 今日はデイゲームだったため、練習が終わったとしても19時ぐらいだろう。その時間帯ならいくらでも店は開いているので、チビは内心嬉しかった。当たり前だが2軍選手はとても貧乏であるため外食するお金など持ち合わせていない。それこそドラフト上位入団のパコやゴリスケのように高い契約金を貰った訳ではないのである。育成選手として入団したチビは金持ちとは無縁の生活をおくっているという訳だ。



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