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036  内野安打の評価


 チビの特訓が始まった。とにかく本能と理性のバランスを保つ必要があるので、頭が打てると思っても必ずバットを止めるという事を最初に実戦した。これは確かに効果があったかもしれないが、それと同時にどうしても積極性を失ってしまう。元々チビは初球から積極的に打つタイプである。それ故に四球が少なくて出塁率が極端に低いのだが、それでもいいのだ。22世紀のプロ野球はギャンブルと提携しているため、その規定の中では四球は引き分けとされている。だからいくら四球を重ねようとも成績が良くらない。昔とは違うのだ。そこまでホームラン数の多くない遊撃手が100四球を突破して評価される時代はとうに終わっている。これからはヒットやホームランなどの派手な攻撃が評価される時代だ。なんせ観客のほとんどがギャンブラーなのだから四球で歩くところなど地味すぎて全く評価されない。


 その点で言えば、内野安打の評価もグンと上がった。一塁に到達するかしないかのぎりぎりの戦いであるため、とても白熱するのだ。競馬で例えるなら賭けた馬が一着でゴールするか否かという目の覚める勝負である。昔は内野安打でヒットの数を稼ぐのはどうかという議論がなされていたが、今は即決だ。内野安打こそ本当のヒットだと誰もが口を揃えて言う。あれから100年近くが経過してようやく内野安打の美しさを皆が分かってくれたのだ。きっとAKIRAも天国で微笑んでいるだろう。


 何を隠そう、チビが崇拝してやまないAKIRAという選手は単打の5割近くが内野安打という極端な選手だった。彼には生まれ持った才能とも言えるパワーを持っているが、それ以上に足の速さが目立っていた。内野の深いところに飛べば9割近い確率で内野安打にする。


 だがその時代は内野安打の評価が低かったので、内野安打の数はあまり注目されていなかった。ところが22世紀になってAKIRAの内野安打数が注目されるようになったのだ。今の時代では到達不可能と言われる数々の記録を叩きだした彼はベーブルース、ルーゲーリック、鬼崎喜三郎という輝かしいメジャーリーガーに並ぶ野球選手となっている。誰もが羨む存在だ。


 それ故に、チビも彼らに負けじと強い信念を持って戦いの世界に歩み続けている。これだけの信念があればスランプ脱出も近いだろう。



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