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032  スランプの原因


 こうして、あまりにもヒットが打てないチビは自分の打席をビデオを見て確認した。何故今までビデオを見ていなかったのと言うと、彼が憧れているAKIRAという選手が関係していた。彼が言うには、自分の姿を軽いノリで見てしまうと理想と現実のギャップを感じてしまい、不調に陥りやすいというらしい。その言葉を本で見てからは、なるべく鏡やビデオを使うのはやめていた。というよりも、封印していたという砲が正しいだろうか。とにかく、それぐらいチビは自分の姿を見ていなかった。


 そんな彼が遠征先で試合が終わると、モニターで自分の打席を確認していた。すると、チビは自分のバッティング姿に度肝を抜かされた。脳では完璧に捉えたという感覚を持っているにも関わらず、モニターの自分は完全に振り遅れている。それでセカンドゴロを量産して打率を下げていたのだ。


「心と体にズレが生じている……?」


「そうらしいね」


 隣でパイプ椅子に座って同じようにモニターを見ていたパコがそう言っていた。特にフォームには以上が見られず、むしろ心の問題だと両者の意見は一致していた。


「完璧に捉えたと思っているという事は、心が打てると感じたという現しなのかな?」


「でも、それでヒットには出来ていない。恐らく、努力のしすぎでミートポイントが増量としたと勝手に錯覚して、打ちにいってるんじゃないかな」


「ヒットを打てるという錯覚?」


 そう。これだけ努力したのだから自分はきっと成長していると錯覚してしまい、今まで打てなかったゾーンに手を出してしまい、凡打を繰り返してしまっているとパコは分析しているのだ。


「僕も何度か経験した事があるよ。一度難しい球を打ってしまうと、次もヒットに出来るのじゃないかと錯覚して、スランプにはまるケースを。チビ君も以前、難しい球をヒットしたんじゃない?」


 そう、首を傾げて聞いてくるパコだった。思い返してみると、確かにそんな感じの球を打った覚えがあり、チビは静かに頷いていた。


「うん。難しい球というか……苦手なコースに来た速球をセンター前に弾き返した事があるよ。まさか、それがスランプの始まりだったの?」


「そうらしいね。今度からは難しいコースには手を出さない方がいいかも」


 パコはそうだと言うのだった。



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