表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/107

027  焦り


 AKIRAこそが最強のバッターである事は重々承知されるべき事実だとしても、それに屈することなく、チビもチビ自身もヒットやホームランを量産し続けなければならない。なぜならば成績が良くないと1軍には上げて貰えないし、それどころか万年2軍漬けで解雇されるという恐れもある。それだけはあってはならないし、してはいけない。1軍経験の無い者が解雇されてしまった日にはそれこそ再就職先など見つからない。実家が店を経営しているのなら話しは別だが、実際2軍選手の行く先は独立リーグくらいか。独立リーグの給料などお話しにならないのは周知の事実であり、アルバイトでもしないと生活できる金など有りもしない。


 しばしば、チビはこのような現実的な考えをするようになっていた。最初の1年は2軍暮らしでも問題ないかもしれないが、2年目、3年目も2軍暮らしとなればそれはそれは悲惨な事である。1軍で活躍している選手も怪我に悩まされて、2軍に落とされるといのはある。その時の代わりとしても1軍に呼ばれないという事を意味するので、それだけはあってはならないと心に決めていた。


「ミラベルちゃんの心配をするのはいいけど、もうちょっと自分の心配をした方がいいんじゃないか?」


 そう話しを振ってきたのは監督自身だ。かれは2軍監督でありながらも、それなりに成績を残した人物である。郁々は1軍監督に昇格するのも夢ではないと自他共に認めているような男だ。


「はい……そうですね」


 今、それを考えている最中にそれを言われたのでチビはなんとも言えない気持ちになった。もしもチビが思春期の少年ならば「分かってる!」と言って逆切れするところだったかもしれないが、生憎ここは勝負の世界。監督に口出しするのは愚かな事であり、非常識のレッテルを張られるだけだ。それ故に、チビは無難な言葉を口にしていた。


「お前もそろそろ1軍に通用するような打撃力を身に着けてくれよ」


 監督はそうだと苦言するのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ