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021  特殊な内野安打


 1回の表、アルファダックスの攻撃、先頭バッターはカンガルーを擬人化させたパコからだった。パコは身長こそ175センチとそこまで高いという訳ではないが、カンガルー故の恵まれた身体能力が身長以上の活躍をさせていた。


 そして相手投手はイノシシを擬人化させたトリーブという選手だ。イノシシという事もあり、彼は直球に拘りを見せており、変化球はカーブしかない。ようするに、フォーシームとカーブだけで相手をねじ伏せようとするパワーピッチャーだ。最高球速も160キロと早く、平均球速は151キロである。しかし、コントロールが悪く、中々1軍に上がれないのが欠点か。


「1番センター、パコ」


 アナウンスが流れると、球場が盛り上がりを見せた。なんせ100年前と今では野球熱が違う。日本と言えば野球と言われるまで人気の成長を遂げたので、たとえ2軍戦だとしても球場は超満員なのだ。2軍でこれなのだから、1軍ではとてつもない歓声なのだろうと、パコはネクストバッターサークルにて思っていた。


「パコ君、がんばれー!」


 歓声にかき消されない様に、大きな声を出して彼を叱咤激励すると、パコは一瞬後ろを向いてニコリと笑うと、左のバッターボックスに向かった。彼もまた伝説的バッターAKIRAを尊敬しているだけあって、共通点がいくらか存在する。まず、左投げ左打ちという点だ。両者共に左のパワーヒッターと評されており、スタンドに白球を叩き込む一連の流れが美しい。


 そして二つ目は内野安打の多さだ。AKIRAは100メートルを9秒台で走る超俊足を誇っていたが、パコに関して言えば走る必要が無い。



 カキーン!


 という音と共にボールが遊撃手の深いところへ飛んでいく。156キロの内角を抉るフォーシームを叩き返したのだ。内角に強いのもAKIRAと同じ点である。そして、パコは走る事は無く、一塁に向かって跳躍した。そう、これはカンガルーを擬人化させたからこそ出来る技である。


 跳躍してからは、降りるだけだ。その結果、足を突きだしてボールが返球される前よりも早く到達する事に成功した彼は、見事内野安打を放ったのだ。


 これでノーアウト一塁。次は2番バッターのチビの打席である。



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