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020  不安


 この日はザ・クレイジーズという球団の2軍チームとの対戦が組まれていた。互いに2軍という事もあって、中々モチベーションを保つのは難しい。ところが、1軍に何がなんでも出場するという強い野心を抱いていれば、そんな思いもしなくて済む。


 そして、誰よりも1軍に上がるという強い野心を抱く者は、他ならぬチビだ。猫で成功した者は今までにおらず、明らかに周囲から期待されていないという空気をひしひしと感じている。だからこそ、自分が初めて成功の道を切り開いてやろうという思いが誰よりも強かった。


「今日も頑張って活躍したいな」


 チビはロッカールームで着替えをしながら独り言を呟いていた、すると、近くにいたパコが近寄ってきて、こう言った。


「そうだな。活躍しないと1軍には上がれないし」


 そう言うパコはホームランも連発してヒットを打ちまくっている。1軍にお呼びがかかるのは時間の問題だと言われる程に。


「パコ君は凄いよね。打率は3割超えてるし、ホームラン数も2桁で」


 カンガルーならではの身体能力を生かして、ここまでの成績を収めているのだ。


「そんな事は無いさ。これぐらいなら誰だって出来る」


「でも……僕は打率2割もいってないし、ホームランの数もまだ0だし」


 22世紀最高の5ツールプレイヤーを目指すチビにとっては、明らかに数字が足りない。5ツールプレイヤーというのはホームランも打率も超越した数字を叩きださなければ話しにならないので、2軍で打率が1割台の選手はどうあがいても5ツールには程遠い。だが、まだチビは1年目の選手なので焦る必要は無い、


「大丈夫だって。大器晩成型と思えばいいじゃないか」


「そうかなあ……ちょっと不安だな」


 そうなのだ。いくら大器晩成と言っても、成績を残す前に解雇されるようでは元も子も無い。というより、自分が大器晩成であるという証拠もないのだ。


「君が尊敬するAKIRAという選手はどうだったの?」


「あの人は一年目から大爆発してたよ。」


 チビはそうだと言うのだった。






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