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014  足りないのはオツム


 ゴリスケという選手はどこまでも単純な男で、なんでも信じてしまう。だから監督やコーチの言う事にはちゃんと首を縦に振って言われた事を言われただけやる。逆に言うと、それ以上の練習は何もしないという事を意味する。「そんな訳ないだろう!」と突っ込みを入れられそうだが、本当なのだ。チビは人間観察が好きなので、ゴリスケの行動パターンをなんとなく分かっている。


「やっぱりゴリスケ君はもうちょっと練習した方がいいよ」


「練習ねえ……ところで練習ってどうやるのかね」


 チビはあっけにとられた。目の前にいるゴリラが練習の仕方が分からないと言うのだから。それはまさに、どこまで頭脳指数が低いんだと言いたいぐらいだ。


「ちょっと。練習方法ぐらい分かるでしょ!」


 チビは猫耳をパタパタと動かしながら必死に訴えていた。すると、ゴリスケは「あ」という声を出しながら何かが降りてきたかのように、満面の笑みをこぼしていた。


「素振りだあ」


「そうだよ、素振りだよ。もう忘れちゃだめだからね」


「分かった。じゃあ練習してくる」


 ゴリスケはそう言うと、自慢の何も塗っていないオーソドックスなバットを手に取ってドスドスと練習場に向かって行った。チビは「はあ」と溜め息を吐いて安堵する。ゴリスケと会話しているだけで疲れてしまうのだ。


「たいへんそうね」


 すると、ここで憧れのミラベル先輩が視界に入った。チビはとたんに赤面して「うわっ!」という声を出してしまった。それぐらいビックリしてしまったのだ。


「ミラベルさん……いつのまに」


 モジモジが止まらない。なんせ、好きな人が汗をかいて目の前にいるのだから。しかもキャップが良く似合う美人のお姉さんはチビのタイプである。


「私の気配が分からなかったのね。良く言われるわ」


「どうしたのですか。急に?」


 チビは自然と上目使いになって首を傾げていた。


「ちょっとね。貴方達の会話が気になっちゃって」


「僕達の会話ですか」


「そうよ」


 ミラベルはそうだと言うのだった。




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