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013  ゴリスケという男


 1軍に上がることが当面の目標だが、そのために自己中心的なプレーを連発してしまう選手は何人も見てきた。チビはそんな選手には絶対になりたくないので、チーププレイを掲げていた。と言っても、バントや守備で最低限の事をするぐらいなのだが。


 そんなチビは明らかに地味で目立たない成績を残していた。犠打数こそチームナンバーワンだが、それ以上に三振数はチームワースト2位。打率も向上したと言っても1割程度しかないので、そこまでチームに役立っているのかと言われれば疑問符が浮かぶ。


「はあ……今日は5つも三振しちゃった」


「ふん。俺と同じだな」


 隣にいるのはゴリラを擬人化させたゴリスケだった。ゴリスケは身長こそ190センチもあって筋肉隆々の選手だ。パワーだけなら1軍でも通用すると言われている。だが、そんなゴリスケが何故に2軍でくすぶっているのか。それは彼のミート力の低さにあった。打率はわずか.032。それでもホームランを5本近く打っているのはマグレだと言うのは有名な話しである。そう彼はホームランか三振という両極端の選手なのだ。


 それだけではなく、守備にもポカが見られる。彼は外野でも比較的簡単と言われるレフトを守っているのだが、エラーを連発する。捕球技術がまるでなくグラブからボールを落としまくる。身体能力は高いので、落下地点にはスムーズに行けるのだがそれ以上が駄目なのだ。


「ゴリスケ君……今日も三振だったの?」


「ああ。これで10日連続で三振だ。いつになったらホームランが出るんだよ」


 ゴリスケは両手で胸をリズミカルに叩きながら呻き声をあげていた。いつも通りの光景だが、身長わずか150センチ程度しかない小人にとって、190センチの大男が隣で胸を叩いていたら恐怖しか感じない。とたんに、チビは顔色を青ざめさせて慌てふためく。


「ちょっと。そんな事言われても僕には分からないよ」


「そうだな……確かにそうだ。俺が悪かった」


 このように、ゴリスケは少々オツムが足りない男でもある。彼はいわゆる脳味噌まで筋肉で出来ているような男なので思考能力は欠如しているのかもしれない。


「でも、ゴリスケ君のパワーは凄いと思うよ」


「ああ。パワーだけなら1軍でも通用すると言われた」


「でも、打率が……」


 チビ以下の打率を残してしまっているのだから改良の余地あり過ぎである。



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