103 謝るのが大事
ところが、チビは誰かの悪口を言っていれば話は尽きなくなると感じていた。確かに話しを中断させないためには不満を言いだして、悪口を言い合うのがいいかもしれない。しかしだからと言って、人の悪口を言っていいのかと疑問に残る。学生時代は誰しも人の悪口を言うなと先生達から教わっている筈だ。それなのに、社会に出れば皆が当たり前のように悪口を言う。それは組織が腐敗してるからに他ならない。組織がまともで誰も不満を漏らさないのであれば、入社してきた新人達も何も言わなくなる。だから本当に悪口を言っていいのかどうか、それは言ってはいけないに決まっている。しかし口に出さないとストレスが溜まってしまう人間も大勢いるのも確かだ。きっとそれが目の前の二人なのだろう。寮長を罵倒する言葉ばかりが、飛び交っている。基本的にチビは周りの人間に合わせるタイプなので、チビも悪口を言わざる終えなかった。自分の信念がまだ未発達なために、左や右に流されてしまうのだ。しかしそれは若い内は仕方がない。本当に駄目なのは40を過ぎても自分の信念が磨かれていない人間である。そんな人間には責任者の資格など無いので、早々に辞職していただきたい。組織の中で本当に必要とされているのは責任を持って謝れる人間だ。失敗した時にはごめんと謝るのが普通の人間だ。しかしそれが出来ない人間が大勢いるのもまた事実である。