102 不必要なオバサン
何処の組織にも不必要のババアは存在しているが、それにしても凄まじいババアがチビ達の住んでいる寮にいた。彼女は仮にも寮長であるにも関わらず、イケメンの選手を贔屓目で見ている。イケメンの選手には特性の手料理を振る舞うが、それ以外の選手には手料理など作らずに日の丸弁当を渡しているのだ。これにはチビを含めて他の選手達も痺れを切らせていた。せっかく疲れて寮に返っているのに、そこまで酷い仕打ちは無いだろうと心の中で思っているが、本音は言えない。まだチビ達は若いので喋りが上手じゃないのだ。お喋りが上手になるためには人との交流が大切になってくるが、それすらも無い。なんせ2軍選手は給料が低いわりには忙しいので一日のほとんどの時間を野球に吸い取られてしまう。そうなると疲れてしまい、口など周る筈も無かった。結局、年上の人間にはまったく喋れないので、こうして周りの若い人間とああでもないこうでもないと言うのが、チビの中で流行っていた。少なくとも彼らは自分と同じような気持ちを抱いているので話せば話す程、心地よい感じがする。
「あのクソババアは本当に腹が立つよな。いつかきっと地獄に落ちるぜ」
相変わらず口の悪いパコだが、確かに彼の言う通りだ。それぐらい寮長は人間的にもおかしいので愚痴と悪口は止まらない。本当にいい加減にしてくれと内心では思っているのだが、やはり直接面と向かっては言えない。だから悪口もヒートアップしてしまう。このように共通の敵を作ってしまえば団結力は一気に上がる。
「そうだそうだ。というか、落ちてしまえばいいのさ!」
ゴリスケも同じ意見のようだった。