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101  人間の屑


 人間のクズはどの組織にもいる。しかし、正真正銘の下種野郎は中々いない。人は誰しも心の中に少しの優しさを持っているものだが、この下種野郎と呼ばれる人達はその優しい心を持っていない。チビが所属している阪海ワイルドダックスにもまた、そう呼ばれる人がいた。それは球団関係者で直接野球に携わっていないが選手をサポートするための人間だ。感の良い人には分かったかもしれないが、その人間は紛れもなく寮長である。主に2軍選手と1軍と2軍を行ったり来たりしている選手を世話しているのだが、このおばさんは正真正銘、人間のクズだ。優しさなど微塵も持っておらず口癖は「ふざけやがってあの野郎」だ。どんな人間に対しても平気で悪口と愚痴を言い、自分の仕事に何の誇りも持っていない。普通仕事は理不尽なのが当たり前なのに、その寮長は仕事でも理不尽を嫌う。こんなバカバカしい奴はいないと、皆からも嫌われているのだ。なので選手の間では寮長の悪口は尽きない。この時もそうだった。2軍の試合が終わって帰宅しようとバスに乗っている時、カンガルーを擬人化させたパコ外野手とゴリラを擬人化させた……あの選手と一緒に寮長の悪口で盛り上がっていた。


「あのおばさん。今日も朝から機嫌が悪かったな」


 最初に話を振ってきたのはゴリスケである。ゴリスケは堀の深い顔を更に深くてして元来短気な霊長類の血を爆発させていた。それぐらい、寮長のおばちゃんは人間的におかしいのだ。まず、お気に入りの選手にだけべったりとひっつき飯を奢ったりする。他の選手には逆に「今まで世話したんだから飯ぐらい奢れ!」と喚き散らかすのにだ。ここまで人によって掌をコロコロと返る輩はほとんどいない。



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