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010  前向き


 成績が向上した。この事実はチビの日々を奮い立たせる要因となったのは言うまでもない。今までお店で商品を買うだけでも劣等感を感じていた彼だが、今の彼はそんな事は無い。同等と商品をカゴにドカンと置いて、レジに並ぶことが出来る。昔の彼は、貧乏過ぎて割引商品しか買えない自分を恥じていたのだが、成績が向上する事によって自信が湧き、割引商品に対する耐性が付いたのだ。


「僕はここで終わる選手じゃない。この貧乏体験もきっと未来には笑い話になっているさ」


 そう言って、廃棄寸前の弁当を食べるチビだった。規則正しい生活をする事になって、すっかり元気になった彼は気持ちも前向きだ。猫耳もピンと立てて、目はキラキラと輝いている。


 それだけ、徹夜は肉体的にも精神的にも悪かったという事だ。今のチビを見ているだけでそうだと頷けるのだ。


「よお、チビちゃん」


 すると、カンガルーを擬人化させた選手のパコが手土産を持ってチビの部屋に遊びにやってきた。右手にはチビの大好きなマタタビが握られているではないか。これにはチビも目の色を変えて夢中になり、ヨダレを垂らしてマタタビを見つめる。


「ああ……マタタビだあ!」


「最近調子がいいお前さんに差し入れを持って来たぞ」


「ありがとう。パコ君!」


 マタタビを受け取ると、チビは夢中でマタタビを嗅いでベッドの上を転がり回る。擬人化させたと言っても根っこの部分は猫そのものなので、マタタビを嗅ぐと興奮してしまうのだ。




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