購入
道路に
設置された
看板を辿り
大手デパートの
立体駐車場に
入る
3階4階屋上と
駐車場があり
4階駐車場の
エレベーター付近
車が 若干
密集している場所へ
車を停めた
なるべく
エレベーター待ちで
人と同行しない為に
そして
目立たないように
その場所を
選んだ
エレベーター横の
案内板を見る
1階
電気家電売場
寝具売場
2階
衣類
……本屋もある
2階から
回ろう
エレベーターの
ボタンを押し
上がって来る
エレベーターが
無人である事を
固唾を飲んで
願った
エレベーター脇に
階段が ある
人影は ないが
売場の階の
構造が わからない
階段を下りた先に
何が あるかも
検討しようがない
やはり
エレベーターで
下りた方が
無難だろう
上がって来た
無人のエレベーターに
乗り込み
肘で 2階のボタンを
押した
大手デパート
とは言え
平日の夕方
人影も
まばらだ
やはり
男性客は
老夫婦と
学生服
そして
休暇を過ごした
親子連れ
スーツ姿の客は
俺以外
見当たらない
……そんなもんだろう
意外と
デパートの本屋に
男性客の姿が
見える
活字離れの時代に
本屋を訪れる
客数が 多い事に
少し 驚いた
地図の並ぶ棚で
手の平サイズの
地図を探す
単行本より
小さめの地図
埼玉県
茨城県
栃木県
とりあえず
三冊選び
旅行案内の雑誌
『関東日帰り温泉』
購入
休暇を過ごす為の
下準備
そう店員に
違和感なく
伝わればいいと
旅行雑誌を
混ぜた
疑いなく
レジを打つ店員が
紙袋に 詰め
料金を払い
紙袋を受け取る
本屋に立ち寄った
サラリーマン
男一人
デパートを
歩いていても
不思議では
ないだろう
紳士服売場へ
移動する
中央売場で
小物の安売りを
していた
女性用の鞄に財布
ハンカチや帽子
隅の方に
男性用の品々が
申し訳なさそうに
置かれている
SALE
2000円オール
持ちやすそうな
セカンドバックと
厚めの手袋
そして
マフラーを
購入
茶色い手提げ紙袋に
収まった
紳士服売場
丈の長い
ダッフルコートを
選ぶ
防寒着の為に
デザインより
機能に優れたコート
フード付きは
ダッフルしかない
ビニール製の
防寒に優れた
上着を避けたのは
歩くたび
擦れる音を
防ぐ為
二着程
羽織って
選んだふりした
レジで
値札とタグを
外して貰い
そのまま
コートに
袖を 通す
勿論
荷物になるからだ
膨らんだ
紙袋を持ち
電気家電売場で
髭剃りを
購入した後
毛布を
買ったとしたら
かなり
目立つと
想像したからだ
エスカレーターで
一階に降り
電気売場の
カウンターに
並ぶ髭剃りを
横目に
通り過ぎる
……髭剃りは
…厳しい
レジの…真横
店員が 二人
万引き防止…
そんな所だろう
寝具コーナー
軽くて
温かい素材の
薄い携帯用の毛布
その横に
避難グッズコーナーを
発見
野球観戦などに
便利な風避けシート
銀色のシートが
箱詰めにされ
重ねてあった
毛布と
シートの箱を
持ち
家電売場のレジへ
向かった
………髭剃り
車専用
アダプター付きの
文字だけを
探し
商品棚から
髭剃りの箱を
ひとつ 手に持ち
……車専用
アダプター付属の
確認をする
…よし
レジで
毛布とシート
そして髭剃りを
まとめて精算した
……焦るな
…焦るな
乾いた口を
固く結び
平静を保つ
足取りも
ゆっくりと運び
エレベーターまで
辿り着く間
不必要な商品に
目を移しながら
歩く
仕事帰り
疲れた
一人暮らし男性の
暇潰し買物
……そう
見えただろうか
エレベーターが
4階に向け
上昇する
3階を過ぎ
無意識に
溜息をつく
思っていた
以上に
緊張していたらしい
体の筋肉が
強張り
力んでいた
証拠だけが
重くのしかかった
………疲れる
わずか
数時間で
どれだけの
消耗を したのだろう
車に乗り込み
上着のポケットから
煙草を取出し
一本の煙草を
口にくわえる
……たった
一箱
煙草を買う為に
寝る時間を
削り
働いてきた
助手席に
置いた
買物袋を
眺め
ただ
何とも言えぬ
虚しさだけが
残り始めていた




