運転席
見知らぬ町
見慣れない
風景が
何処となく
見慣れてくる
少し外れた
住宅街
古家が 並ぶ町
何処も
同じように
思える
国道を
避けながら
街道を
走る
なるべく
狭い道を
避け
目の前を
走る車を
ただ
追っていた
少し広めの
駐車場がある
コンビニを
探し
トラックの
真横に
停車した
フロントに
ドライバーの
足が 見える
長距離トラックの
運転手が
仮眠を取っている
可能性が 高い
気持ちの問題だが
少しだけ
車を 隠せた
気がした
カードと
報道番組の
メモ書き
そして
ガス請求書を
持って
コンビニ前の
公衆電話に
向かった
【犯人】
通報の為に
受話器を
上げ
車に置いてあった
小銭を 数枚
投入し
緊急用ボタンを
押せば
現在地が
判明してしまう
などと
考えながら
[110]
途中まで
押して
受話器を
置いた
……通報して
どうなるんだ
チャリンチャリンと
弾む小銭の音が
虚しく
響く
通報して
容疑が 晴れる訳でも
ないだろう
……もし
【犯人】も
仕組まれた
人物なら
俺と同じ
被害者かも
しれない
ふと
頭に過ぎった
俺に似た
【犯人】
根本 久雄
唯一
手掛かりの
人物
根本は
どんな人生を
送っていたのだろう
あのアパートで
……一人
俺と同じ
年代の男
根本にも
家族が いるのだろうか
コンビニのATM機
カードを入れ
暗証番号を
打ち込む
画面に
表示された
残高照会
[3.000.000]
とりあえず
……10万
引き落とした
車情報雑誌
烏龍茶
缶珈琲
そして
弁当
ごく
当たり前な
品々
印象付けない
為にも
何処にでも居る
ありふれた
客の一人に
なりたかった
意外と
普通な出来事
元々
コンビニ店員の
顔など
見ずに
買い物をする
【容疑者】で
ない時でも
滅多に
気にして
見る事は
ない
視線は
迷う事なく
打ち出される
レジ表示を
眺めていた
車に戻り
ミラーを
覗く
【容疑者】の顔
…いつもと
変わらず
見慣れた顔に
苦笑する
活気のない
どんよりとした
表情に
不精髭が
生えていた
出入りの多い
コンビニ
駐車場から
移動する
ハンドルを
握ると
偶然
目の前の道路に
バスが 通った
【医大学病院前】
広大な敷地の
駐車場が ある
バスを追い
ハンドルを
切った