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戦略



落ち着いた

雰囲気の

レストラン



午前10時過ぎ

客も少ない



モーニングが

終わり

ランチまでの

ささやかな

休息中



のんびりとした

空気が 漂う



朗らかな

女性が

水をテーブルに

置き



オススメを

訪ねると

ハンバーグを

薦められた



オーブンで

焼き上げる

ハンバーグは

ご亭主自ら

和牛肉をミンチに

するらしく

ジューシーだと

丁寧に 教えてくれた




ハンバーグを

注文し

笑顔で頭を

下げた婦人



ご夫婦で

レストランを

経営して

いるのだろう




携帯電話を

テーブルに置き

聡美に差し出す



「聡美は どう思う?」



メールを

開いた聡美が

画面をスクロール

させながら

何度も

読み返している



「……三日間よね」



「ん?」



「三日間逃亡したら

報酬が貰えるんでしょ?


文章が 曖昧過ぎない?」



「曖昧?」



「犯人死亡により

中断して下さい


これって

予定外の事件が起きて

慌てて 作成した

文章にも 見えるわ」



「…根本の自殺は

予定外だったと?」



「……多分」



根本の自殺は

根本本人が

決めた事なのか?



「…後ね

根本のマンションも

不自然だと思うの」



「ん……」




「昨夜 根本の遺体が

発見され

朝一番のニュースで

流れたとしたら


マンションの契約は

いつ交わされたの?」



「…確かに俺達が

見た報道番組より先に

ニュースが 流れていた

可能性は 十分あるしな」



「ニュースを知って

慌ててメールを作成し

送信したとして


二通目のメールは

《賞品》と名目して

送られて来てるわ


ルールには

報酬はあるけど

賞品は なかったはずよ」



「…マンションか」



「これって

いかにも 謝罪を含め

多村さんへ贈呈みたいに

記載してるけど……」



「してるけど?」



聡美は

水を飲み込み

テーブルに

グラスを置き



「根本が 受け取る

《賞品》じゃない?」



「…なるほど」



「それと…根本名義の

銀行口座番号も…ね」



……

………

自殺した

根本の報酬を

横流しされた…のか?




鉄板の上で

タレが弾ける音が

響き渡り

香ばしい匂いの

ハンバーグが

テーブルに

置かれた



正直 食べる気分には

ならない



「美味しそう」



聡美が 笑顔で

婦人に告げると

優しい顔で

微笑む婦人が



「ごゆっくり」



言葉を 添えて

頭を下げた



フォークを刺し

ナイフで刻む聡美が

ハンバーグの断面から

滲み出る肉汁を

見せ



「腹ごしらえ

するんでしょ?」



陽気に

笑ってみせた




つい数分前

腕にしがみつき

啜り泣いた聡美と



今の聡美は

同一人物

なのだろうか



食欲のないまま

頬張る

ハンバーグが

口の中で

蕩けるほど

軟らかく



いつしか夢中で

食べ終えていた



食後の珈琲が

運ばれ

食器を下げた

婦人の後ろ姿を

眺めていた聡美が

ぽつりと

言葉を 零す



「殺害された

喫茶店の女性経営者も

あんな感じなのかな?」




被害者の女性

【栗原 智子】38歳



犯人の部屋で

報道されていた

栗原の写真を見た時

何か 不快なものを

感じていた




「……どうかな」



半信半疑のまま

聡美に告げる



「問題は そこよね」



「……ん?」



「同性の感覚と

異性の感覚って

微妙に違うじゃない?」



「何の話だ」



「殺害された女性

なんか違和感があるのよ


男女の縺れが

原因って報道してたけど


有り得るな…って

思ったもの」




「わかりやすく言えよ」



「だから…

此処の経営者が

さっきの女性と仮定して

殺害された条件が同じ

ここの女性の写真が

テレビ画面に写った場合


多分 犯人を憎むわ

酷い事するのねって」



解説する

聡美の表情が

哀れみから

一転し

怒りの表情に

変わる



「でも 栗原の写真を

見た時 悪いけど

殺されても

仕方ないんじゃないって

思ったのよね」



無言で

煙草に火を

付けると

聡美の怒りが

消沈し



「殺されていい人なんて

いない事 わかってる」



俯き掛ける

聡美に



「確かに一理あるな


殺害された女性

ま…栗原智子だが

喫茶店経営者には

見えなかった


高慢そうな

高飛車の女性


そう言いたいんだろ?」




テレビ画面を

見た時

不快を

感じたのは

これかもしれない




喫茶店女性経営者



勿論

朗らかな

女性ばかりとは

限らない



凜とした女性や

個性的な女性も

多いだろう



こだわりの食材や

健康食品など

客側に立ち

提供する



女性ならではの

気遣いや

細やかな配慮



例え

笑顔を全面に

押し出さなくても

飲食業の客商売

サービス精神は

あるに違いない



《被害者》

栗原 智子



【冷酷】



……そう

感じる写真だったのだ




………

根本は

俺に成り済まし

栗原 智子に

逢う為に



喫茶店[智]へ

通い続けたのだろうか



[多村雅一]と

名乗り

栗原 智子と

接点を 結ぶ為に

通い続け



そして

犯罪者の汚名を

被り



耐え切れず

……自殺……した?




……何の為に?



何故 俺の名前を?


何故 根本なんだ




たまたま

偶然 似た人物が

[俺]と[根本]である

理由は



…………いったい…



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