表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/36

喪失感



薄暗く

照らされる

コンビニの

駐車場




俯いて

握り絞める拳




……何を

すべきだろうか




他人名義の

カードを取り出し

ATM機に向かう




残高を確認し

もう一度

10万円を

引き下ろした




軍資金として

必要な額すら

見当が

つかなかったからだ




ビール2本と

柿の種



そして

弁当と

煙草




独身時代に

定番だった

品々を

手に持ち

レジに置く




仕事帰り

当然のように

通った

コンビニ




妻と出会うまで

何も疑問を

持たずに

買っていた

品々



何故

こんなにも

屈辱感が

込み上げるのだろう




あの頃




コンビニ袋を

ぶら下げ

自宅に帰り




暗い部屋に

電気を点す



暖房すらない

冷たい空気の中

敷きっぱなしの

布団の上に



上着を着たまま

寝転ぶのが

最高の幸せだった




誰も居ない

部屋で




映り込む

深夜番組を

背中を丸め



弁当のおかずを

ツマミに

ビールを

飲みながら

眺めていた日々




孤独を

感じる事もなく




日常生活の

一部を

過ごしていた




………

《犯人》

根本 久雄が

暮らす部屋と



似た部屋で




………

…………




根本 久雄




俺に 似た

もう ひとりの

被害者




………根本は

…今



何を思い

何を感じて

いるのだろうか




流れる

車の波に

飲み込まれるように




行き先も

不明確のまま




北へ…北へと

アクセルを

踏んだ




………

根本の故郷へ

向かう様に




ただ

北へと

走り続けていた




どれほど

走り続けただろう




セルフの

ガソリンスタンドで

ガソリンを

補給する




いつの間にか

国道に

紛れ込んだらしく

道路沿いに

ファミレスや

ラーメン屋が

並んでいた




……午後9時過ぎ




流れに任せ

無意識に

走っていた為



隠れ場所に

予定していた

ショッピング街も



今となれば

もう

何処にあるのかさえ

わからなくなっていた




給油明細の

レシートに

記載された

支店名




地図の目次欄を

探すが

見つからず




仕方なく

地図を

閉じ




しばらく

国道を走る事に

した




……検問を

するほど

大きな事件では

ないと




願うしかない




《容疑者》

として

逃亡する気力を

すでに

失くしている




ましてや

夜景スポットを

楽しむ

気分でもなく




空白の時間を

ただ

埋め尽くす為の

走行距離




何も考えず

何も求めず



無心で

運転していた

道路脇に



【24時間】



インターネット

ビリヤード

ダーツ カラオケ



看板の下に

2つ目信号左折と

矢印が 見えた




左折をし

整地された

街路樹を

辿る




奥まった場所に

巨大な建物が

見えた




森林を

伐採して

建設したのだろうか




森の中に

突如 現れた

アミューズメント




建物を囲む

駐車場に

沢山の車が

停まり



建物の前で

若者達が

ふざけあい

笑い声を

発していた




………

出来たばかりの

娯楽施設



……かも

知れない





賑わう

駐車場を

横目に

通過




並木の街路樹は

そこで

途切れているが

奥へと道が

続いていたからだ



偵察も兼て

外灯が 減る奥地へ



木々の隙間から

彩る電球が

微かに

見え出し




青いネオン

【空室】の文字が

浮かんでいる




……ラブホテル街




一定の間隔をあけ

【空室】のネオンが

何箇か 見えた





細い道が

そのまま

高速道路を

くぐり抜け




広めの道路に

突き当たる




右折をして

道なりに走り

国道にぶつかると



角に 大きな

【24時間】の

看板がある



ひとつ目信号右折




先程の場所に

戻って来れた





駐車場に

設置された

外灯が



駐車場の奥から

手前まで

照らしている




何処に停めても

暖色系の光が

差し込むだろう




混み合った

駐車場内




なるべく

奥側を選び

車を停め




何時間も

前に 購入した

弁当を取り出し




エンジンを

切った


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ