御箸の話(地の文あり)
文才なくても小説を書くスレで、お題を貰って書きました。三部作の内の一作です。 お題:お盆
「だから、お箸を一膳二膳と数えるのがおかしい!」
共に室内に足を踏み入れるなり、こいつは顔を引き締めてそう叫びだした。
「そもそも膳っていうのはお膳のことだ。主食であるご飯から吸い物、菜物に、肉や魚まで、その時に整えられる一人前分の食事のことだ。もてなす側がそれぞれの担当に必要な個数を伝える場合に、お膳の数を数えて伝えるのが最も合理的だっただけだ!」
怒りながら持論を述べ始めるこいつを適当にいなして、俺は買ってきたカップ麺に―彼の分まで―お湯を入れ始める。
「大岡越前でもあっただろ。多くは食わねえ、たった一膳ってな。それで統一するなら、カップ味噌汁もお弁当もライスも全部一膳と数えるべきなんだよ」
語りの調子がノったのか、こいつはあらぬ方向を見て独りでうなずく。無駄かもしれないと思いながらも一応、こっち向いて話せ的に、軽く苦言を呈しておいた。
「だと言うのに、割り箸一つに対しても一膳二膳と数えるとは……あの店員はこのカップ麺を見て、整えられた食卓だと思えというのか!」
だと言いたいのは俺の方だ。まったく理解してないので、宥める方向に言葉を変えてみたが、おそらくこれも通じていない。
「だから断じて、俺が頑なにお箸を一膳と言わなかったことがダメだったわけじゃないんだ」
通じていないと思うものの、目に見えて落ち込まれると慰めてしまうのは友の情けか。適当に理解を示す言葉は投げかけておく、
「分かってくれたか!」
だが、言いっぱなしでもだめなんだよな。特に、お盆で運んで済ませる程度だからって、一盆二盆とは数えるなんて。そこはしっかり釘を刺しておく。
「…………」
目に見えて落ち込んで……なんだその顔は。ショ盆とでも言いたいのか?
オチまで短くストレートで、でも表現の仕方はいくつかあるよなと思いついてしまったので、開き直っていくつか書いてみました。
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198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/31(水) 12:28:28.82 ID:fFc2qoEZ0
たくさんお題ください
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/31(水) 13:37:26.68 ID:SFpNFmW0o
>>198
お盆
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/31(水) 19:42:28.31 ID:fFc2qoEZ0
>>199-200
ありがたく頂戴いたします