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美少女戦士はもう無理だって!  作者: Marry


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第15話 連行だニャン♡

「あ〜美味しい。

 ムシャ ムシャ パク パク」


 相変わらずワルツの食べっぷりは凄まじい。


「ほんと、あんたの食欲は凄いわね。

 いったい、そのちっこい体のどこへ、そんなに食べ物が入るっての?

 たぶん頭の中も胃袋なんでしょうね」


 本当にこの子の体の中身は、ほとんどが胃袋なんじゃないだろうか?


 私は半ば真剣にそう考えてしまう。


「違いますよ〜。

 これはですね……

 倒れた先輩たちにエネルギーを供給したからですねえ〜

 ちゃんと補充しとかないと……」


 ワルツはもっともらしい理屈を口にした。


「なるほどね……

 ……て、騙されないわよ。

 よくよく考えたら、あんたが居候していた期間、毎日毎日、今みたいに食べまくってたじゃないの!

 いくら食費がかかったと思ってるのよ!

 あんたの体には十分蓄えがあったでしょうに!」


 ワルツが居座ってからというもの、今月のエンゲル係数は、優に分母の数倍なのよ!


 私は心のなかでも悲痛な叫びを上げた。


「まあまあ、雪乃先輩、そうカリカリしないで。

 このフライドチキンでも召し上がれ」


 私の叫びもどこ吹く風。


 ワルツは右手に持った食べかけのフライドチキンを私に差し出してきた。


「食べかけの骨なんかいるか〜っ!」


「まあまあ、雪乃ちゃん。

 落ち着きなさいってば。

 ほんと、あんたたちは相変わらずなんだから……」


 マッキーはズズズと横でお茶をすする。


「で、フレンディちゃん。

 あなたの話をまだ聞いてなかったんだけど、詳しく聞かせてくれるかしら?」


 マッキーのその言葉で、場の雰囲気は一変した。


 私とワルツも一旦喧嘩をやめて、サッと座布団に座り直した。


「僕はこの世界とは違う世界、【ワンクチュアリ】からやってきたんだ」


 やっぱりそうだよね。


 異世界に決まってるよね。


 普通なら飛び上がって驚くところであるが、ここにいる面々にとって、それは既定路線であった。


「僕たちの世界も、【ファンタジスタ】やこの地球と同じように【魔魂まだま】の封印が、何者かによって解かれて、大変な状況なんだ」


「ねえ、ヤマト、【魔魂まだま】の騒ぎってこんな頻繁に、あっちもこっちも起こるものなの?」


 私はヤマトに疑問を投げかけてみた。


「ん〜……

 確かにないとはいえないけれど、こんな短期間に、しかも、近場の世界ばっかりで起こるなんて……

 ついつい、不穏な力が働いてるんじゃないかって、邪推してしまうよね。

 どう思う?

 フウテン」


 そう言い、ヤマトはフウテンにチラッと目を合わせた。


「確かにヤマトの言う通りだ。

 長い【ファンタジスタ】の歴史の中でも、聞いたことがない」


 フウテンも腕組みしながら難しい顔をしている。


「それはそれとして、フレンディちゃん、話を続けてくれるかしら」


 マッキーはフレンディに話の続きを促した。


「結論から言うと、ワルツは代々受け継がれてきた、一子相伝である【ニャン斗神剣】伝承者の生まれ変わり。

 そして、現世に今いるのはワルツだけなんだよ」


「ええっ!

 わたしが!

 って驚かないわよ」


 ワルツは偉そうに頭がそり返るぐらいに胸を張った。


「だって、そうでしょ。

 私だけ【猫ニャンスーツ】の影響を受けずに変身後の雪乃先輩たちの顔を認識できてたし。

 それに、なんてったって、私も美少女戦士に変身できたんだもんね。

 最初はなんか光の国からやってきた人みたいな格好させられたけどね」


「あんたって子は……

 ほんと、その反応はワルツらしいわ」


 私は呆れを通り越して尊敬の念すら抱かずにはいられなかった。


「僕は代々、【ワン斗神剣】伝承者に使えるロボット犬フレンディ。

 この3000年ほど、ずっと伝承者をサポートしてきたんだけど、20年ほど前に、次の伝承者が決まる前に、ご主人さまは病気で亡くなってしまったんだ。

 そして、この地球にワルツとして転生したってわけさ」


「じゃあ、私がよく見るアニメの戦闘シーンみたいな夢って……」


「恐らく、転生前の記憶の断片だろうね」


「な〜るほど。

 それで納得がいったわ。

 で、フレンディは私に何をしろと?」


「決まってるじゃないか。

 僕たちの世界で暴れている【魔魂まだま】を封印して、怪獣を倒して欲しいのさ」


「ゲッ!

 やっぱりそうなるよね。

 雪乃せんぱ〜い♡」


「ダ〜メ。

 あんたがご指名なんでしょ?

 まずはひとりで頑張ってみなさい」


 私は片目をつむり、半笑いで答えた。


 目の前のマッキーやフウテン、ヤマトとクククと笑いを堪えている。


「そんなあ……」


 ワルツは泣き出しそうな顔をこちらに向けてくる。


 私は落ち着いてズズズとお茶をすするだけ。


「そうと決まれば、さっそく出発だ!」


 フレンディがワルツの肩を掴むと、リビングの片隅に光のゲートが現れた。


「さあ、行くよ、ワルツ」


「ちょ、私はまだ食べてるところよ。

 それにひとりで行くなんて了承してないわよ」


「そんな、ダダをこねてる場合じゃないってば」


 フレンディは足をバタつかせるワルツを引きずり、光のゲートに向かう。


「行ってらっしゃ〜い」


 私たちは笑顔でワルツに手を振った。


「せんぱ〜い!」


 フライドチキン片手に、ワルツは強制連行され、光の中へ消えていった。


「さすがワルツね。

 こんなときにも、しっかりとフライドチキンは握ったままだったわね」


 私はフフフと笑った。


 ここからはワルツの物語が始まる。


 それはまた、別の機会に……


 Fin

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