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セシルside

 レントに手を引かれやってきたのは校舎屋上だった。お昼休みになると大勢の生徒が過ごす場所だけど、今は一時間目中とあって誰もいなかった。


「ふぅぅ……」


 屋上に誰もいないことを確認するとレントは私の手を握ったまま振り向き、


「あっ!ちょ、ちょっとターイム!……ふぅぅ」


 何かを言いかけてやめると深呼吸した。その様子から相当緊張してることが伝わった。


(ふふ。全くレントはしょうがないんだから)


 かくいう私は、


(私だって……ど、どどど、どうしようぉぉ!!)


 それ以上に緊張していました。


(ま、まずは落ち着くのよ!こ、ここはレントのように深呼吸を!)


 自分を見失ってしまうほどに。


「ひっ!ひっふぅぅぅ!ひっ!ひっふぅぅぅ!」


 やってて思った。これって妊婦さんがお産の時にやる呼吸法じゃん!って。だけどそれでも今はやらないよりマシ!と


「ひっ!!ひっ!!!ふぅぅぅぅぅ!!!」


 全力で息を吐き続けた。


「せ、セシル!」


 が、それがアダとなってしまい


「まだ好きってことがなんなのか分かんねえし、バカだから上手い言い回しもできねえんだけど」


 意を決して話し出してくれたレントには申し訳ないのだけど


(ぐ、ぐるじい……!?)


 今、私、めっちゃ酸欠。


(く、空気を、空気を私に分けてくれェェェ)


 空気を分けてほしい状態になってしまっていた。


「お、俺はこれから先、一緒に過ごすならセシル!お前がいいって思ってんだ!」

 

 意識も朧げで若干ではあったけど視界もぐにゃんと歪み始めた。


「この気持ちが好きってことなのかわからねえけど!こんな俺で良ければ結婚してくれ!」


 しかしレントの声はなんとなく聞こえていたし無視するのは絶対に意地でも嫌だったので


「は、はい"ぃ"ぃ"」


 体内に残された空気を使って言葉を発した。でも、それで限界だった。


「……」


 おそらく前方にいるであろうレントに倒れ込んだ。

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