ルイーズside
今日はずっと寒くて余裕がなかった。レントのことで眠れない日々を送っていたからかもしれない。でも、今はなんだか……。
「……」
目が覚めた。なぜ眠っていたのかわからなかったけど自分がベッドで眠っていたということは身体の感覚から理解できた。
「ふぅぅ」
だからどこで自分が眠っているのか確認するために視線を動かして
「お、目が覚めたか」
レントと目があった。
「ぬははは!どうだ暖かいだろ!」
白い歯を輝かせニッコリ笑顔のレントが上半身裸で
「1、2、3、4 は10!」
滝のような汗を流しながらスクワットをしていた。
「暖炉が壊れていてな。寒かったから仕方なく俺の体温で暖めるかと思ってスクワットを始めたんだ!どうだ暖かいだろぉ!」
掛け声から行動から思考回路からツッコミどころ満載すぎた。だけど、
(……レントだし。まあ、いいか)
ということでまだ眠いし、思考を放棄して眠ることに
「はん!ほん!ヴォン!うぁぁぁ!」
眠ることに
「おはよう!ウリ!リップサービス!」
眠るこ
「ヘルペス!マイキー!ハルバスター!」
ね、
「眠れるかァァ!」
眠りにつこうとしたのだけどレントの独特すぎる掛け声が気になって気になって大きな声で叫んでしまった。
「うお!どしたキャサリン!」
そんな私の声にレントは驚き
「腹でも下したのか!」
スクワットは継続したまま心配してくれた。のだけど女性にしていい質問ではない。
「デリカシー!!私、女性!下品、ダメヨ!」
なぜかカタコトになってしまったけど注意してやった。
「ああそうだった!すまん!」
相変わらずレントは素直だった。素直に謝ってくれた。
「わかったなら次からは気をつけなさい」
いつもなら人を使うなりして無礼を働いたヤツに容赦なんてしないのに、なぜかレントだけは許してしまう。
「わかった」
屈託のない無邪気な笑顔を向けられた。腹が黒すぎる私とは正反対の純粋さが眩しかった。
(なんでそんなに真っ直ぐに生きていられるの?)
貴族社会なんて嘘と見栄だらけのドロドロした世界のはずなのになんでこんなにも純粋に生きられるのか……羨ましい。
(私だって本当は)
私とは正反対。だからなのかな。こんなにもあなたに惹かれてしまうのは。
「ありがとな、キャサリン」
あなたといると嘘をつかなくていい。それが心地良くて
「ふふ。いえいえ」
この瞬間がずっと続けばいいのにと願ってしまう。でも、私は知ってる。私の願いが叶わないということを。だって、
「ねえ」
あなたの心が指し示す人物は私ではなく
「ん?どした?」
セシルだから。羨ましいほどにまっすぐと向いてる。
「私ね。レントのことが好き」
断られることなんてわかってる。だけど、
「愛してるの」
なんでだろうなぁ。いつもの私なら勝てない戦いはしないのに伝えずにはいられなかった。
「……」
私の突然の告白にレントはしばらく呆然としたあとハッとした表情をすると、
「すまん!!」
って言って断られてしまった。それでも心のどこかではひょっとしたらって想いもあったけどやっぱりダメだった。
「セシルのことが好きなんでしょ?」
悔しい。ものすごい悔しい!!だから性格の悪い私は、
「それは」
レントを困らせてやることにした。
「ま、振られた私にはどうでもいいことなんだけどね」
といって医務室を出た。
「あっ」
するとちょうど入り口横にセシルがいた。どうやら私とレントのやり取りを隠れて聞いていたのかバツの悪そうな顔をしていた。
「ねえ」
だから私は言ってやった。
「あんたはこのままでいいの?」
私は伝えた。あんたも好きなら伝えなくていいの?後悔するよって意味を込めて。
「……」
セシルは困った顔をしていたけど
「ま、私には関係ないことだからどうでもいいけどね」
そのままにして中庭へと出ていった。
(あーあ)
それから人気のない校舎の陰に座り込んで
(終わった……)
泣いた。
(お、終わっちゃったよぉぉ)
私の初恋は実ることなく悔しさを残して散った。




