神視点
「あ、ああ」
「く、クリス様!」
セシルにノックアウトされたクリスは床に倒れる前に取り巻き達に抱き抱えられ
「お、お前達!」
「お、覚えてろよ!」
ダンスホールから消えていった。
「おっふ……」
という無様な声と白目を向いた状態で。
「……」
静寂に包まれるダンスホールーークリスの圧政に苦しめられる日々が始まったと思ったら即終了というまさかの展開に思考が追いつかずみんな何度も目をパチクリさせていた。
「ふん!」
やってやった。セシルはずっと乗り越えられなかったあの日を、トラウマを乗り越えた喜びから昂っていた。
「……ふぅぅ」
そして当然の如く昂りは一瞬にして冷めていき我に返ったセシルは、
(や……やっちゃったぁぁぁ!!)
少し前の自分がしでかしたことを思い出して
(王太子蹴っちゃったよぉぉ!)
頭を抱えた。
(え、ど、どうなるの私!打首?打首になるのぉぉ!)
"お、覚えてろよ!"
(とか言ってたし!……はぁぁ)
自身のしでかしたことを考えると未来に不安しかなくため息が漏れた。
(まあ、やってしまったものは仕方ないわね。いい蹴りだったし、あいつも蹴れて気分も晴れたから)
が、落ち込んでいても仕方ないと
「ま、いっかぁ」
切り替えることにしたセシルだった。とセシルが切り替えた一方で状況を噛み砕き飲み込めたもの達は
「めっちゃいい蹴りだったな!まあ、俺なら余裕でかわすけどな!」
レントだけセシルに明るく笑いかけ
「へえ。なら、油断した時にでも一撃お見舞いしてみようかしら」
そんなレントに王太子を蹴り飛ばしたあとなのに軽口で返すセシルを見て
「「「いやいやいや」」」
感謝しつつも談笑するような状況ではないとツッコミを入れたという。とまぁクリス騒動はこれにて閉幕したのだが、
「あれ?ダンスれんしゅ……ぅ」
休憩でダンスホールの外に出ていたルイーズが戻ってきて
「?!おい!キャサリン!」
「ルイーズさん!」
そのまま入り口で倒れた。




