レントside
新学期が始まる前夜。俺はワクワクしていた。
「いやだぁぁ!俺は絶対に行かないぞぉぉ!」
長期休みが大好きでそれが明けるとなるといつも風邪を引こうと夜通し鍛錬するのだけど今回は違った。
(セシルに会える)
ただそれだけ。「セシルに会える」と思うだけでなんか嬉しくて楽しみだった。
(早く明日にならねえかな)
もうギンギンで。ずっと天井を見つめてやってきた
「朝だ!」
多少の眠気はあった。それでも朝の四時に着替えて王城を飛び出し、校門を飛び越え、壁を登って教室へ侵入。
(まだかな。まだかな)
とワクワクしながら夜勤の衛兵の巡回を
「ん?変な音がしたような?」
「アオオオン!」
「なんだ。狼男の鳴き声か」
学園で飼っている狼男の鳴きマネをしてやり過ごし待つこと四時間、ついにその時はやってきた。
「おっセシルじゃん」
ようやくセシルがやってきた。嬉しい。けど本人を前にしたら恥ずかしくなってしまって
「おはっす」
軽い感じで本当は嬉しくてたまらないはずなのにそれを悟られないようにあくびして「なんかダリィ」とカッコつけながら挨拶した。
「……ふふ」
そして横目でチラッとセシルを見たら口元を手で隠して笑っていた。で、そのままニコニコしながら俺の隣へやってきて
「これから始業式なんだから今日くらい寝癖、直しなさいよ」
手グシで優しく撫でるように直してくれた。
「これでよし」
それからまた俺を見てニコッと笑った。
「おっ……」
俺はそんなセシルの横顔をじっと見てしまった。
「おお」
見ているとドキドキした。目が離せなかった。しかしずっと見てるのも変な奴認定されてしまうので
(……綺麗だな)
ホームルームが終わるまで俺は机につっぷすと横目でセシルをじっと見つめ続けた。
(なんでこんなにドキドキしてんだ俺)
セシルに抱くこの感情がなんなのかも自覚せずに。




