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セシルside

建国から七百年。かつて大陸を支配した帝国の一所領に過ぎず人口も一万人しかいなかったロープウェイ王国は今では百万人を超える人々が生活している。


 そんな王都の真ん中には王立学院「ゼヒュロス」という場所がある。


 生徒数一万を超え、校内にはコロッセオ、劇場、国立図書館や校舎といった二十を超える建造物が建ち並ぶ。


 そんな広大すぎる王立学院で最上級生にあたる七年棟の階段踊り場で私ーーセシルは立ち尽くしていた。


(ど、どうしよう)


 全身姿見の前で鏡に写る自分を


(どうしたらいいの私!)


 血走った目で凝視して


(レントと同じクラスしかも隣の席になっちゃったよぉぉ!!)


 取り乱していた。


(レントに会うのって間接的に告白しかけたあの日以来じゃない?)


 朝早く起きて洗って綺麗に整えた髪をわしゃっと握って、ぐぬぬぬ!


「君」


 そんな私は、


「もうすぐホームルームが始まるから早く教室に入りなさい」


「え」


「ほら。行きなさい」


「えええ!ちょ、心の準備がぁぁ!!」


 学年主任の先生に引っ張られて


「ほら」


 教室へと押し込まれてしまった。


「おっセシルじゃん!」


 そして教室へと入った私を待っていたのは


「おはっす」


 眩しい笑顔とピヨっと小さくハネた頭頂部の寝癖が目立つレントがいて


「くぁぁ」


 あくびをしていた。緊張した素振りもなくいつも通りといった様子。


「……ふふ」


 本当になんでかな。不思議といつも通りのレントを見ていたら緊張していたのが嘘のように「ラ・ブエルテ」で笑い合った時のように自然と笑えた。


「これから始業式なんだから今日くらいは身だしなみを整えないとダメよ?」


 私はレントの隣へ腰掛けると寝癖を直した。

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