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レントside

時は遡り少し前。


「居ねえ……」

 

 夕日が完全に沈みかけていた。


「今日も1日終わったぁ」


「きつい現場だったなぁ」


 仕事を終えた人達が


「早く帰らなくちゃ!」


「怒られるー!」


 遊びに夢中になって帰りが遅くなった子供達がそれぞれ家路へとついていた。


「どこにいんだ」


 冷静に考えればとっくに家に帰っているだろうに……それでも探した。なぜか?本能が


"探せ"


 と訴える。それになんでかわからないけど会えるような気がしていた。だから俺はセシルを探し続けた。それに


"また"


 別れ際のセシルの寂しそうに笑った顔が浮かんで、その度に胸が締め付けられそうになった。


"甘いわね"


 ケーキ屋で見たセシルの笑顔……心から楽しいのが伝わってくるようなニカっと笑う顔がすげぇ印象的で


 「いいな」


 と思った。笑顔が似合うセシルには笑っててほしい。


「はぁはぁ」


 だけどその笑顔だって何がきっかけで見られなくなるかわからない。


「どこにいんだよ」


 焦りばかりが募っていった。早く見つけないと、と。


「はぁはぁ!」


 でも、流石に体力の限界だった。心は早く探さなくちゃと焦るのに身体が追いつかなかった。


「はぁはぁ」


 俺はその場で足を止めて膝に手をついて地面を見つめた。そろそろ完全に日が沈むのか街灯が明るくなり始めていた。


(見つかんねぇ……はぁはぁ)


 しばらくして息も整ってきた俺は顔を上げ周囲を見た。


(焦っても見つかるわけじゃねぇ。落ち着け)


 そしてはやる気持ちを落ち着けた。時だった。


「……いた」


 周囲を確認する中でたまたま目に入った街灯近くのベンチに特徴的な栗色の髪の女が座っていた。かなり暗くなってたし離れていたから顔は見えなかったけどなんとなくわかった。その人物が


「セシル!」


 だということが。ああ……よかった。


「れ、レント!」


 とセシルは驚いていた。けど、今の俺はセシルが見つかったことが


「見つかった!」


 本当に嬉しくて困惑するセシルをよそに


「よかったぁ!」


 抱きしめた。その存在を確かめるように。


「本当に」


 身体から伝わってくる感触が今、俺の腕の中にいるセシルが幻じゃないと教えてくれた。


「セシル」


 それからセシルを解放すると


「すまなかった!」


 俺は頭を下げた。

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