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セシルside
そんなに長い時間一緒にいたわけじゃなかった。けど、
「き、気をつけて帰れよ」
今日はレントの知らない一面をたくさん見て、知れて楽しかった。だから本当はもっと、もう少しだけ一緒にいたかった。
「うん」
ただいざ口にしようとするとすくんでしまって短く返事をすることしかできなかった。
「また」
うまく笑えていたか分からないけど笑顔でレントを見送った。
「……」
遠ざかっていくレントの後ろ姿を無言で見続けた。そんな時だった。
「……」
ちょうど人混みにのまれてレントが見えなくなる瞬間、どこからかルイーズが現れて
「レ~ント殿下」
レントの腕に抱きついた。
「うお!」
ルイーズの行動にレントは驚いていたけど、
「誰だ、ってキャサリンじゃねえか!」
「もお!キャサリンじゃないですって!」
「?まあ、細かいことはいいじゃねえか。キャサリン!」
ルイーズの顔を見た途端、笑うと親しげに話していた。
「もお!ふふ。しょうがない人ですね」
私の時とは違って話しにくそうにした様子ではなく。
「……何よ」
無意識だった。気がつくとレントたちに背を向けて歩き出していた。
(私の時と全然違うじゃない)
それに何故かレントに対してなのか、それとも自分に対してなのか、理由のわからないイライラが胸中を支配して気分が悪かった。




