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065:夢抱きし少年

 王都の中にある少し開けた場所。

 細い裏通りを進んでいき、辿り着いたのが此処だ。


 コケが生えていて少しじめっとした石畳。

 元は何かの像を此処に置いていたのだろうが。

 その像は破壊されていて、石の台座くらいしか無い。

 周りは石の壁に囲まれていて、その壁には色々な落書きがされていた。

 下品なものから独創的なもんまである……見ていて飽きる事は無いな。

 

 周りには人はおらず。

 野良猫などが端っこで体を丸めて寝ている。

 風はあまり感じない上に、空から差す陽の光も薄い。

 いや、時間がそれなりに経過している事もあるんだろう。

 もう昼時からはだいぶ時間が経過しているからな。

 

 よく目を凝らせば周囲に溶け込むように小さなテントが張られていた。

 外敵に気づかれないようにする為のものなのか。

 術式が組み込まれている特殊なものなのかもしれない。

 気が付いたのは中から物音がするからで……誰かが入ってるな。


 ……もしかして、金が無くなってから二人は此処で野宿してたのか?


 子供が二人で野宿をするなんてと思うが。

 今ではこのレーラがいれば全く危険ではないと認識していた。

 このお嬢さんは俺よりも遥かに強い。

 坊ちゃんが何故、この女の子だけを連れて此処まで来る事が出来たのか。

 今ならハッキリと理由が分かる……逆らわない方が良いな。

 

 逃げ道は入って来た道しかない。

 が、レーラの手を振りほどいた瞬間に俺は半殺しになるだろう。

 足では絶対に敵わないし、知恵でどうのこうの出来るほど手札は無い。

 今はアードルングが助けに来てくれるのを待つしかない。


 周囲のものを観察し終えれば、テントがある場所から誰かが出て来た。

 それはローブを脱いだ状態のギルバートだった。

 彼は手に少し大きめの布を持ちながら視線を俺に向ける……睨んでる?


「……何時まで握っている」

「え、あぁ、悪い悪い」

「……ギルバート様、次は何を?」

「……いや、今は良い……直にこいつの仲間も来るだろう。それまでは周囲を警戒していてくれ」

「承知しました」


 レーラは一礼し、そのまま入口の方に歩いていった。

 俺はその後ろ姿を見送ってから、ギルバートの坊ちゃんに視線を向ける。

 すると、奴は手に持っていた布を俺に渡し「楽にしろ」と言う。


「へいへい……あぁそれで、俺たちを雇いたいんだったか?」

「そのつもりだったが……幾つか質問がしたい」

「拒否権は?」

「無い……と言いたいが、俺にお前の意志を奪う権利は無い……助けてくれた事と飯の礼があるからな」

「……まぁいいや。で? 何が聞きたいんだ?」


 俺は渡された布を地面に敷き、どかりと座る。

 ギルバートも布を敷いてからそこに座り言葉を発した。


「……死狂と戦ったのは誰だ?」

「……俺とアードルングは違う。別の仲間の魔術師だ」

「……たった一人で死狂を退けたのか?」

「あぁ、まぁ……そうだな。そうだと思うぜ?」

「思う、という事は詳しくは聞いていないのか。それとも――情報を隠しているのか」

「……へへ」


 俺は笑う。

 すると、奴は静かに頷き「分かった」と呟く……な、何が?


「……他二名の仲間は何処だ? 情報ではそいつらも同じ日に拘束を解かれた筈だ」

「あぁアイツらはオベリッシュにそのまま行ったよ。大事な用があるって言ってな」

「……パーティのメンバーでは無かったのか?」

「え? いや、違う違う……まぁそもそも死狂と戦う事になったのも偶然っていうか……」

「歯切れが悪いな……正規のパーティで無いのであれば、何かしらの事情があってパーティを組んだのか……やはり、組合が極秘裏に銀級以上の冒険者たちに調査を依頼していたのは本当のようだな」

「……お前、何処まで知ってんだ?」


 明らかにおかしい。

 情報量が高すぎる。

 俺の人相書きを持っていたのはまだ分かる。

 金でも積んで手に入れた可能性は……無い気がするけど、何とかして手に入れたんだろう。


 だけど、何でこいつは組合が極秘裏に冒険者たちに調査の依頼を出していた事を知っていたのか。

 如何に高貴な身分であろうとも、国の上層部であったり組合で地位のある人間しか知り得ない情報だ。

 それを何でギルバートは知っていたのか。

 不思議であり、疑いの目を自然と向けてしまう。

 すると、俺の視線に気が付いたギルバートは静かに息を吐く。


「……これ以上は隠す必要も無いか」

「え? な、何だよ急に」

「……お前は俺を貴族と思っているな」

「え、違うのか? じゃなきゃ大商会の」

「――俺はオベリッシュ魔導皇国の第三皇子ギルバート・オブライエンだ」

「…………え?」


 

 今、この坊ちゃんは何と言った……?


 

 オベリッシュ魔導皇国の第三皇子と確かに聞こえた。

 それはつまり、目の前の坊ちゃんは貴族どころか――王族だ。


 

 

 どうやって組合から情報を入手する事が出来たのか……王族だから。


 何故、組合の職員はこんな子供に冒険者の個人情報を渡したのか……皇子様だから。


 何故、どうして、どうやって、何が何で――第三皇子殿下であらせられるから。


 


「あ、あぁ、ぁぁああぁ、ぅぁ、あ、あぁ!!」

 

 俺はだらだらと汗を流す。

 口からは言葉にも満たない音しか出ない。

 心臓がバクバクと鼓動し、恐怖と絶望が俺の心を染め上げていく。


 

『……飲め』

『へいへい……面倒な奴だなぁ』

『そうそう! 後でお前の親父さんにがっぼりと請求してやるからな! ははは!』


 

 今までの発言が走馬灯のように駆け巡る。

 ただのボンボンだと思っていた。

 が、蓋を開けてみればボンボンどころではない。

 遥か高みに座る超絶に高貴なお方である。

 

 今まで俺が取っていた無礼な態度。

 その上、アードルングに至ってはこのお方に何かしらの罰を与えていた。


 どんなに馬鹿な人間であろうとも分かる。

 王族相手に無礼な態度を取ればどうなるのか。

 最悪、不敬罪によって死罪にも――!


「ああああ、あの、あの、あの! こここここの度はお日柄も良くぅぅ!!」

「……もういい。気にするな……これで俺の情報源もハッキリしただろう。一番会いたかった人材は既にオベリッシュへと発ったのなら、それはそれで都合がいい……兄上たちも今は国から出ているしな」

「そ、そうですかぁ、へ、へへへ……そ、それで、私めはどうすれば?」

「……無理強いはしない。駆け出しであるお前はいなくてもいいからな」

「おい! それってどういう……す、すんませぇん」


 ぎろりと睨まれて肩を竦める。

 何故、こんなガキに俺はご機嫌取りをしているのか。

 大人である俺が子供に畏まっている姿はお笑いだろう。


 ……だけど、今は我慢だ。


 相手が例え王族であろうとも、俺たちの人権を奪う事は出来ない……筈だ。


 無理強いはしないと言う事は断っても良いと言う事だ。

 俺だけなのかもしれないが、アードルングであれば俺が行かなければ絶対に断るだろう。


「……恐らく、お前の連れのエルフは断るだろうな……だが、俺たちはただで国に帰る訳にはいかない」

「……と、言いますと?」

「条件を提示したい。雇用契約を結べないのであれば、国へとついて来てくれるだけでも構わない。もしも、引き受けてくれるのなら……そうだな。お前たちが欲する情報を渡しても良い」

「……えっと、それだけでいいんですか? 明らかにそっちの方が難しい条件になると思いますけど」


 俺は思わず聞いてしまった。

 すると、奴はにやりと笑い「そうでもない」と呟く……こ、怖ぇ。


 こいつは俺たちを国へと連れ帰り雇用契約を結びたいと言っていた。

 そうする事によって後付けにはなるが。

 こいつが指揮を執って死狂と戦ったと言う筋書きを描きたかったんだろう。

 

 ――が、今思えばそんな計画は穴だらけだ。

 

 手柄を横取りしようにも、既に俺たちが発言したことや現地での調査報告も組合には上がっている筈だ。

 記録にも残されているのであれば、今更皇子様が何を言おうとも意味は無い。

 寧ろ、そんな事をしてしまえばこの皇子様が嘘つきであると知られてその評判は地に落ちるだろう。


 ……何か妙だ。こいつは口が悪くて喧嘩っ早そうだが……何かを隠している。


 第三皇子である事を簡単に明かし。

 交渉をする上での条件も俺たちにいいものだった。

 欲しい情報は天空庭園へと至る為の方法で。

 オベリッシュほどの大国であれば、それに関する書物や記録もあるかもしれない。

 これ以上ないほどに良い条件であり、サボイアへと行ってあるかどうかも分からない本を探すよりは効率的だ。


 俺は思わず、その条件を飲みそうになる。

 が、奇妙な違和感のせいで頷く事は出来なかった。

 黙っているままでは居心地が悪い。

 俺は適当に何かしらの発言をしようと――っ!?


 空中で何かが爆ぜる音がした。

 瞬間、あの大通りの時のように辺り一帯に白い煙が広がる。

 寝ころんでいた猫たちが鳴きながら逃げていくのが分かった。

 俺は周囲を見ながら立ち上がり――っ!?


 背後かた何かが勢いよく迫る。

 俺は咄嗟に振り返ろうとした。

 が、足を払われて手を掴まれてそのまま地面に叩きつけられた。


 俺はくぐもった声を上げながら背中に乗った何かを――お、重いぃ!!


 背中に乗った何かはかなりの重さだ。

 まるで、上から大きな岩を乗せられたようで。

 俺は必死に藻掻くが拘束は解けない。

 ちらりと見れば小柄な少女が乗っていて……えぇ!?


「れ、レーラ!? 嘘だろ!? ぐぇぇ!? な、何でこんなに重いんだぁぁ!?」

「……っ」

「いでででで!!!」


 俺が重いと発言すれば、レーラは少し頬を赤くし腕に力を込める。

 凄まじい力によって手首を捻られて。

 俺はあまりの痛さに情けない声を出した。

 すると、目の前からギルバートの声が聞こえた。


「よせ、レーラ」

「……ギルバート様を放してください」

「それはお前次第だ」


 周囲を覆っていた煙が徐々に薄くなっていく。

 目を凝らして前を見れば、アードルングがいた。

 彼女はギルバートの首に短剣をあてている。

 少しでも妙な真似をすれば首を掻き切るという意味だろう。

 流石はプロであると思っていれば、レーラはまた少し腕に力を込める。


「あががが!!?」

「……もう一度言います。主から手を離してください……無視するのなら」

「――やれ」

「「……え?」」


 俺とレーラは目を点にする。

 アードルングは目を細めながら「好きにしろ」と言う。


「そいつも冒険者の端くれだ。敵の手に下るくらいなら死を選ぶ」

「う、嘘です……そうですよね!?」

「え、えぇっと……や、やれよ! 俺はどうなっても――うううう嘘です嘘です腕を折らないでぇぇ!!」

「……こう言っていますよ」

「……だから? 私は躊躇わないぞ」

「……っ!」


 アードルングは更に短剣を押し当てる。

 瞬間、ギルバートの首筋から僅かに血が流れる。

 それを見たレーラは主の名を呼び俺から手を離す。

 彼女は怒りを露にしながらアードルングに攻撃を仕掛けた。

 が、彼女はギルバートを突き飛ばしながらレーラのパンチをひらりと躱しそのままレーラの背中を蹴る。


「――ぅ!」


 レーラは僅かに体勢を崩す。

 が、一瞬で姿勢を戻しながらステップを踏みギルバートを庇う様に前に立つ。


 アードルングは短剣を構えながら、俺に視線を向ける事無く戦えるか聞いてきた。

 俺は手首を摩りながら立ち上がり問題ない事を伝える。


「……レーラ、やめろ」

「ですが! アイツはギルバート様を」

「――俺はやめろと言った」

「……っ。承知、しました」


 レーラは構えを解く。

 ギルバートはゆっくりと俺たちの前に立つ。

 アードルングが警戒を解くことなく二人を視界に納めていた。

 もしも、妙な真似をすればすぐにでも攻撃を仕掛ける気だろうか。


「……すまなかった」

「……」


 ギルバートは頭を下げる。

 レーラはその様子を静かに見守っていた。

 俺は慌てながら頭を上げるように言う。

 ギルバートは頭を下げながら、先ほどの話をもう一度アードルングに話す。


「頼む。俺たちと一緒にオベリッシュへと来てくれ。来てくれるだけでいい。来てくれるのなら、お前たちが欲する情報を与える……それでもダメならば、金でも何でも」

「――気に食わないな」

「……態度なら改める。言動も慎むように努力する。だから」

「違う。私が気に食わないのは――お前が“真意”を隠している事だ」

「……」


 ギルバートは微動だにしない。

 俺はどういう事なのかとアードルングに聞く。

 すると、彼女は全てが出来過ぎている事を伝えた。


「終焉の導きの幹部を倒す為にやって来た子供が二人。一人はオベリッシュの第三皇子であり、もう一人はけた外れの身体能力を有したハーフエルフ。身分が不確かな時から私は違和感を抱いた……お前もだろ?」

「……あぁ、ただの貴族の息子か大商会の御曹司であっても、護衛一人だけで旅に行かせる筈なんてない……ましてや、仮にも王子様が護衛を一人だけなんてのは……」

「まだある。お前がこの二人を見つけて助けたという時の状況だ……どういう流れだったのかは知らん。が、偶然にも自分たちが探している人物が自分たちを助けてくれるなんて状況……あると思うか?」

「……確かに、言われてみれば……でも、それが一体」

「……妙だと思っていた。だからこそ、こいつに対して私はある術式を掛けてみた……もう分かっているんだろう」


 アードルングはギルバートに問いかける。

 すると、奴は静かに息を吐いてから自らの顔を指さす。


「付与術の応用……体の変化を感じ取る術式か? 差し詰め――嘘を見分ける術か」

「……あの時に私がした質問を覚えているか。覚えているのなら今言ってみろ」

「……“俺たちの目的は何か”、だな」

「そうだ……お前は嘘をついていた。終焉の導きの幹部など最初から倒す気は無かった。恐らく、冒険者に騙されたという話も作り話だな……芝居を打ってまでお前がハガードに接触した理由……これ以上隠す気であれば、私も容赦はしない」


 アードルングは殺気を放つ。

 本気であり、相手が子供であろうとも戦う気だ。

 俺はどうしたものかち二人を見つめて……ギルバートは諦めたように笑う。


「流石は冷人と呼ばれた女だな……そうだ。全部、お前たちをテストする為の芝居だ」

「……何故だ。何故、こんな回りくどい事をした」

「決まっている。お前たちが本当に腕の立つ人材かどうか。そして、知恵の回る人材であるかどうかを見極める為だ……ただのお人好しであれば何もしなかった。断るだけで俺たちの違和に気づかないのであれば、そこまでの人材だったと思うだけだ……一先ずは合格だ」


 ギルバートは手を叩く。

 あんなにも生意気だった小僧の顔ではない。

 大人のような喋り方であり、俺は警戒心を高めた。


「……お前はギリギリだが……まぁ金に目がくらまなかっただけでも上々だ。情に流されず正しい思考が出来ると分かれば隠す必要も無い……俺たちは鼻からお前たちと雇用契約を結ぶつもりも無ければ、手柄を欲しいてもいない」

「ならば何故、我々に接触した」

「……そうだな……一言で言うのなら、目的が一致しているからだ」

「目的が一致って……まさか、お前たちも天空庭園に?」

「……そうだ。あるかどうかも不確かな場所……伝説の地である天空庭園……そこは全ての命の願いが叶う場所とされている……我々はその地へとどうしても行かなければならない」


 ギルバートは拳を握りながら決意を零す。

 俺はそんな奴を見つめがら、疑問が浮かんできた。


「……目的が一致したのは分かったけどよ……でも、何で俺たちなんだ? 皇子様ならもっと違う奴でも」

「ダメだ。他の奴らでは辿りつけない。そういう“未来”であるからだ」

「……未来? どういう意味だよ」

「……儀式魔法は知っているか? 生贄を捧げる事によって奇跡を起こす術だ……俺はそれを使って未来を見た」

「……っ! 使ったって……お前!!」

「案ずるな。捧げた供物は多くの人間を無差別に殺したような重罪人たちばかりだ……まぁ人である事は変わらないがな」

「……それで、何の未来を見たんだ。それと我々に何の関係が」

「――天空庭園へと至り願いを叶えし男が一人……それがお前だったんだよ。ルーク・ハガード」

「「……!!」」


 俺は大きく目を見開く。

 隣に立つアードルングも少なからず驚いていた。

 ギルバートは乾いた笑みを浮かべながら「真実かどうかは分からないがな」と言う。


「……俺の儀式魔法は成功した筈だ。そして、限定的ではあるが未来を知れたと思ったさ。そして、すぐにお前を探したが見つける事は出来なかった……当時の俺はまだ十にもなっていなかったがな」

「……まぁそうだろうよ。お前が今幾つなのかは知らねぇけど。俺が冒険者になったのはまだ遂最近の話だからな……それに、俺は大陸の端にある小さな漁村にいたしな。見つけられなくて当然だ」

「……俺とレーラは十三だ。何年もの間、俺はお前を探し続けて……遂に情報を手に入れた……すぐに接触を図ろうとも思っていたが、確証も無いままに接触する事は出来なかった。だからこそ様子を見ていたが……まさか、終焉の導きと交戦し生き残るなんて思わなかった……流石は天空庭園に至る者だと感心したよ」

「……そんで、こんな大掛かりなテストまでしてよ……夢があるのか? だったら、一緒に行こうぜ!」

「ハガード!」

「いいじゃねぇか! 同じ目的があるって言うのなら、一緒に行くのも悪くねぇよ!」

 

 俺は笑う。

 こいつらの今の言葉には嘘は無かった。

 だからこそ、夢があるのなら一緒に行こうと誘う。

 すると、ギルバートは少し驚いていた。


「……俺が言うのも何だが……本当に良いのか?」

「んあ? 良いに決まってるだろ。レーラは俺よりも強いし、お前は俺よりも賢いんだ……俺よりも優秀って言うんだったら、逆に俺の方がごめんなって感じだけどよ! ははは!」

「……気持ちがいいほどの純粋さだな……助かる」


 ギルバートはにこりと笑った。

 そうして、ゆっくりと手を差し出す。

 俺はその意味に気が付いて手を握った。


「俺はルーク・ハガード! よろしくな皇子様!」

「改めて、ギルバート・オブライエンだ……皇子はやめてくれ」

「「……」」


 俺たちは友好の握手をする。

 が、互いに後ろにいる女性たちは警戒の籠った目で互いを見ていた。


 俺とギルバートは危ない視線はやめるように注意する。

 すると、二人は渋々頷いてから互いに謝っていた。


 何はともあれだ。

 これでまた新たな仲間が二人も増えた。

 片や一国の皇子様であり、もう片方は怪力無双のハーフエルフだ。

 中々に面白いメンツになったと俺は思ったが……それにしても……。


「では、場所を移動しようか。もう此処にいる必要も無い……ハガードたちの宿屋まで案内してくれないか?」

「ん? あぁ構わないぜ」


 俺はギルバートの提案を承諾する。

 彼らはテントを片付けると言って俺たちに少し待つように言う。

 

 俺たちはテントの片づけを始めた彼らを見つめる。


「……結局、アイツの叶えたい夢って何だろうな?」

「……何故聞かなかった?」

「え、いやぁ……何となく?」

「……?」


 俺はにへらと笑う。

 すると、アードルングが眉を顰めて首を傾げていた。

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