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似合わないスーツ5

よろしければ、お読み下さい。

 塚本さんは、昔から人付き合いが苦手で、大学では友人を作ろうと意気込んでいたが、やっぱり難しく、落ち込んでいた。

 そんな時、同じ学年の男子学生から一緒に遊びに行こうと声を掛けられた。その男子学生の知人を含めて一緒に遊びに行くようになり、しばらくは楽しい日々が続いた。

 しかし、ある時塚本さんは、その知人達が詐欺グループのメンバーだと気付いた。最初に声を掛けてくれた友人の部屋に遊びに行った際、詐欺のマニュアルがあるのを見つけてしまったのだ。

 塚本さんは友人に警察に自首するよう勧めたが、逆に脅されてしまった。自分が自首なんてしたら、塚本さんも共犯だと思われて逮捕されるぞと言われたらしい。

 塚本さんはこれ以上友人を説得する勇気も、警察に通報する勇気もなかった。ただ、何とか詐欺の被害を防ぐ事は出来ないかと考えた。


 そうして悶々としている内に数日が過ぎ、ある日の昼間塚本さんが公園を通りかかると、詐欺グループの仲間の一人がお婆さんと話しているのが見えた。そのお婆さん――吉村さんは塚本さんの家の近所に住む方で、塚本さんと顔見知りだった。

 詐欺グループの仲間である男は、吉村さんから封筒を受け取っているようだ。吉村さんが詐欺に遭っていると、塚本さんは確信した。


 男と吉村さんが別れるのを見届けながら、塚本さんはある事を思いついた。そして、翌日には、着なれないスーツを着て吉村さんの元を訪ねた。

「あれ、けんちゃん、どうしたの?」

 そう聞く吉村さんに、塚本さんは言った。

「ばあちゃん、昨日翔太から、お金が必要とか言われなかった?」


「案の定、翔太の名を騙った詐欺でした」

 待合室で、目を伏せながら塚本さんが私達に話している。

「よくある手口の詐欺かな。交通事故を起こして示談金が必要だとかいう」

「はい、そうです」

 塚本さんは、涼太君の言葉にこくりと頷いた。


 やはり吉村さんは詐欺に遭っていた。塚本さんは、吉村さんに法律事務所のスタッフだと嘘を吐き、法律上今の段階で事故の示談金を受け取る事は禁止されていると言って、詐欺グループが吉村さんから騙し取ったお金を返した。詐欺グループが利用していた口座の暗証番号を偶々知る事が出来たので、こっそりお金を引き出したのだ。


 その後も何度かこのような事があり、その都度吉村さんにお金を返していたが、ある時詐欺グループの仲間にお金を引き出していた事がばれて、塚本さんは夜中の公園で複数人に暴行を受けた。

「来月までに、穴埋めとして三百万用意しろ。でなかったら、殴るだけじゃ済まないからな」

 そう言って詐欺グループのメンバーは公園を去って行った。しかし、塚本さんはお金を用意する気は無かった。三百万円なんて大金を用意するには、それこそ詐欺をするしかなかったからだ。

 塚本さんは以前から母親と二人暮らしで、その母親も現在海外で働いているので、しばらく従兄の家に逃げる事にした。


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