第六話
コワードラビットか…
まぁ、どこにいるのかわからないから教えてもらいたいんだけど、ダンタスさんに聞くのはパーティーのメンバーの方にも迷惑がかかるからやめよう…
じゃあ、NPCの人に聞こう!こういうのは現地の人に聞くのが一番だよね。
さっきいたお酒を飲んでたドワーフのおっちゃんに話しかけてみるか。
「すみません!コワードラビットってどこにいるか教えてくれませんか?」
「お、もしかして初めてのクエストか?わしも初めてのクエストはコw」
おっちゃんの昔話が始まりそうになった瞬間、顔の横らへんを見られた気がした。
「お前、その耳の形は、クソエルフじゃねぇか!お前らに教えることはなんもねぇ!適当に魔法で索敵して探せ。」
このゲームではドワーフとエルフは仲が悪いのか…
「そうですか…腕が良さそうだから短剣を買おうと…」
この取ってつけたような理由で機嫌を取れないか?
「エルフにしてはいい目をしてるじゃねぇか!わしはドワーフの中でも指折りの鍛治師だと言われるくらいには腕がいいぞ。店の立地が悪いせいで客はあまり来ないがな…」
クソエルフからエルフになるくらいには機嫌が良くなったようだ。にしても指折りの鍛治師がこんなところに。俺以外に気づいてる人はいるのか?
「エルフ、名前はなんだ?」
「サーヴァです。」
「よし、サーヴァ。お前さんは駆け出し、お金はあまり持っていないはずだ。」
お金、は一応武器を買うためのお金で1000G持っている。ギルドでも200Gで最低限の武器を買うことはできるが質は良くないらしい、サンからの情報だ。
「そうですね。1000Gしか手持ちがないです。」
「とりあえずわしの店に来い。ギルドのものよりは値が張るが値段以上の武器を打ってやる。」
なんか気に入られたみたいだ。
ギルドを出て、おっちゃんの後をついていくと人通りがいい通りではなく、その隙間に入っていき、プレイヤーどころか他のNPCすら見なくなってしまった。
「ここが俺の仕事場兼店だ。」
人通りの全くない場所にあるおっちゃんの店はかなり古びた物件でなぜこんな場所で店を開いたと思うくらいだ。
「なんでこんなに人通りがないところでやってるんですか?」
そう聞くとおっちゃんが言いづらそうに
「わしらドワーフは大部分を人族が占めるこの国では武器を打つ時の音で迷惑をかけないように土の精霊の力で音が仕事場の周りに漏れないようにしてるんだが、わしは他のドワーフよりも打つ音が大きくて軽減することはできるんだが完全に聞こえなくすることがちょっと難しくてな…」
なるほど…まぁ、俺にできることではないけど考えておくか…
「そういえばサーヴァは短剣を使うんだったな。ギルドでは200Gで買えるが俺のは数打ちの短剣でも400Gはする。質はギルドのものよりも2倍以上いいと断言できるが。」
400Gか…実は値段はそんなに気にしていない。
理由は俺が回避型を目指しているから回復ポーションに使う費用がかからないことでその費用を武器に充てることができるからだ。
「じゃあ、数打物の短剣を買います。」
「いや、お前はエルフだろ?風魔法が使えるか?」
「一応、風魔法と水魔法が使えますけど…何かあるんですか?」
おっちゃんは少し悩むような仕草をして
「よし、とりあえず数打ちの短剣でお金を5000Gくらい稼いでこい。次はオリジナルの武器を作ってやる。」
俺はおっちゃんに400Gを渡して、短剣を受け取った。
「じゃあ、初めてのクエスト頑張ってこいよ。」
そう言っておっちゃんが店の後ろに下がって行こうとしたので
「あ、あの!コワードラビットってどこにいますか?」
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