第一話
俺の高校2年生の夏休みが始まる頃、世界中で発売が待ち望まれていたフルダイブ型VRMMO、『Crossed Fates Online』、通称『CFO』の発売が決定し、全世界が熱狂に包まれた。
俺も熱狂した1人だ。
速水嵐疾、実は有望な陸上選手になると言われていたが怪我しちゃったんだよねー。
まぁ、怪我をしないことも選手の条件みたいなものだから、別に俺は走れなくなった訳でもないからね。
「なあ、嵐疾。夏休み始まるけどもちろんCFOやるだろ?」
夏休み前の最後の登校で先生の会合があるけど全然話を聞いていない。
こいつは杉野太陽。CFOのβテスターだ。俺は太陽にCFOのことを教えてもらった時からずっとこのゲームをやりたかったんだ。
「ああ。もう買ってある。帰ったらキャラメイクするつもりだよ。」
限りなくというほどは狭くないCFOの第1陣に当選したので、もう家にゲームはある。
一応、陸上を本気でやっていた時もゲームはたまにやっていたがフルダイブは初めてだ。
「俺、β勢の特権で持ち物を指定した2つのアイテムとランダムで3個選ばれて引き継がれるから使わない武器来たらあげるわ。俺はキャラそのままだから嵐疾がキャラメイクしてる間も遊べるしな。」
このゲームにはキャラメイクがとてつもなく細かいという特徴がある。太陽は、元々顔が整っている方だから髪色を変えただけらしいがそれでも職業やスキルを選ぶだけで1時間はかかったと言っていた。
太陽が言うにはゲーム内の1時間は現実世界だと15分だとのことだが、別に1時間かけてスキルを選んだことは変わらない。
「先に遊んでてくれていいけど、キャラメイク終わったらフレンド登録するから名前教えて。」
どうせ太陽から取ってs「サンだよ。」
知 っ て た
昔から一緒にゲームをする仲だったがずっと太陽は『サン』、俺は『サーヴァ』でゲームをしている。
「よし、キャラメイクガチるか。太陽1時間半待ってくれ。」
「まあ、製品版はわからないけどβではスキルがかなり大事だったから悩むのはいいことだな。嵐疾の強運ならランダムを選んでもいい気がする。レア職業とかレアスキルはランダムでしか来ないからな。俺の狂戦士もランダムで来たしな。」
ランダムか…それもありだな。
先生の夏休みも頑張れよ的な恒例の挨拶が終わり家に帰った。久々に本気で走って帰った気がする。俺もまだ全然速いぞ。
親はいろんなとこへ出張しているため家に帰ってくることはほとんどない。俺は怒られることなくゲームができると言うわけだ。
早速起動するか。フルダイブとか言うからどんな棺桶型ハードかと思ったらゴーグル型な。
ゴーグルをつけてゲームのアイコンに目を合わせ、目を5秒閉じる。これだけだ簡単だろ?
あれ?もう目を開けて大丈夫なのかな?合図とかあったかな。太陽に聞いとけばよかった。
てかもう1分くらい経t〈スキル【瞑想】を取得しました。〉
は?