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1-8 近いものと遠いもの

「それじゃ皆さま、ゴリレイオンさんとその兄のゴロンズさんの久しぶりの再会を祝って、カンパーイ!!」

「「「カンパーイ!!」」」


 あはははっと笑いあいながら、本日のギルドに設けられている酒場の中で、祝杯が上がった。


「まさか、助けた冒険者が、ゴリレイオンさんのお兄さんとは驚きですね」

「そうだろそうだろ!」

「見た目がゴリラライオンなゴリレイオンさんと違って、まともな人っぽいっているのが特に驚きましたね。ここまで似てない兄弟がいるって、人間って不思議だなぁ」

「ぶー--っ!!」

「おいこらラロン!!それは余計なことだぁぁぁぁ!!」

「これでも俺たち、ちゃんと同時刻に生まれた双子の兄弟なんだぞ」

「マジっすかゴリレイオンさん!!」

「それでここまで似ないって、すごい奇跡じゃないですか!」

「「お前らも乗るなぁぁぁぁぁ!!」」


 軽く冗談を言ったが、まぁ、可能性としてはありえなくもないのだろう。

 双子と言っても一卵性意外に二卵性とかもあるし、見た目が違う兄弟になっても不思議ではない。





…異世界転生して妖精になってから、そこそこの時間が経過して、はやひと月以上の時間は流れただろうか。

 最初の方こそは妖精という立場ゆえに珍しいものを見るような視線にさらされることが多かったが、自分は今、普通に冒険者としての生活で人々の間になじんでいた。


 よく異世界転生とかで俺つえぇぇみたいな主人公は一人で生活することが多いだろうが、自分はそういう生活に向いていない。

 人間ではなく妖精として転生しているので人と同じようなことがすべてできるわけでもなく、手助けがいる時だってある。

 その代わりに、こちらもしっかりと助けられた時の礼を返すことで関係を作り上げ、人々の中に交じることができるようになったのであった。


 一応、妖精魔法で光の腕とか作って、人のサイズに合わせたものを持ったりできるけどね。そんなものを使うより、妖精サイズに合わせたものを自力で作ったほうが楽なこともある。


 なお、冒険者として過ごしつつ知識も蓄えるために、街に寄った商人や旅人とも交流を持つようにして、鑑定に生かせるようにした。

 そのかいあって、依頼で薬草採取時により質のいいものを探り当てたり、襲ってくる魔物たちの急所を知って的確に攻撃できるようになるなど、良いことが多い。


 もちろん、街の外からくる人達は事前に情報を収集して、大丈夫そうな人を選んで交流している。下手に怪しい商人とか、やばい人に遭遇したら、冒険者という身分保障があってもやらかす人が出るだろうしね…実際に、最初の一~二週間ほどは、夜襲をかけてこようとした輩もいたが、妖精魔法で華麗に撃退に成功し、衛兵たちへ引き渡したので、襲撃の頻度はだいぶ減った。



「それでも、ずっとここに居続けるのもなんだかなぁ…」


 馴染んでくると、心の中に余裕ができてくるのだが、そうなってくるとちょっと別の場所にもいってみたくなる思いがある。

 異世界に来たからこそ、より異なる場所へ、まだ見ぬものを見たくなるだろう。


 でも、その一歩を踏み出すには、まだちょっと足りない。

 助け合うことで関係を築き上げてきたからこそ、居心地がよくなっている街を離れるのは、嫌だという思いもある。そう、例えるならば真冬の寒い部屋の中、こたつから抜け出せないように…今は妖精になっているけど、人って一度与えられた環境から抜け出すのが難しい。


「おいおいどうしたラロン!難しい顔をして!!」

「あ、いや、ちょっとだけ考え事をしていただけだけど…皆、なにやってんの?」


「ふぬぐうううううう!!」

「うぉぉぉぉぉ!!今日こそ勝つぞぉ!!」

「腕相撲大会!力自慢の野郎どもが力比べをしているのさ!お前も出るか?」

「おー!面白そうだけど…あ、でも妖精だからサイズ差が厳しいから、出られないな」

「そういえばそっか。すまんな」


 妖精魔法で対抗できそうな光の腕とかも出せるが、それは純粋な腕力じゃないので違うだろう。

 こういう勝負は正々堂々とやりたいし、見物しているだけでも楽しめるだろう。


「その代わりに、賭け事には参加かな!!今誰が一番熱い?」

「はははは!!優勝争いはゴリレイオンかニキーンクのどっちかだと予想!!奴の兄であるゴロンズもまだ実力が見えていないし、ダークホースとしてかけられるぞ!!」

「うーん、だったらゴリレイオンさんに賭けよう!!がんばれぇぇぇ!!」

「こちらは自分自身に賭けたぞ!!この筋肉のルゴルタスが勝利をかっぱらって見せよう!!」


 むきぃっと力こぶを見せつけて宣言したりする冒険者たちを見ながら、今日も酒場は大盛り上がりを見せるのであった…



「レディ~~~ゴー!!」

びったぁぁぁぁん!!

「ぐぇえええええええええええええええ!?」

「おーっと!!ルゴルタス瞬殺されたぞ!!奴の2か月間貯めた賭け事用のお金が今、無になったぁぁぁぁ!!」

「賭け事での身の破滅、マッハで身をもって示すってどうなの!?」


…冒険者たちといて思ったが、割と大胆にやらかす人が多いという感想も持った。とりあえずルゴルタスさん、ご愁傷様。この間、奥さんに逃げられたっていうけど、こういうところが原因なのかもしれないなぁ…



あはははと笑いあいつつ、人との生活に慣れていく

妖精としての身ではあるが、心があるから交流もできるだろう

でも、他の場所にも向かってみたくあり…

次回に続く!!


…今回の主人公、結構人と触れ合いやすいか

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