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1-6 冒険者としての知識を求め

…『ラロン』という名前にしたのは、一応意味がある。

 ななしのごんべいとしてやるわけにもいかないので、どうしたものかと考えた結果、光妖精だから光の「ライト」という言い方と、妖精なら有名な話で妖精王「オベイロン」というのを聞いたことがあったので、この二つを合わせて『ラロン』としたのである。


 それに、いくら転生当初からこの世界の文字を読み書きできても、森にいた妖精がどうやって知ったのかと思われそうなので、登録までに情報収集も兼ねて冒険者たちから学ばせてもらったおかげで、支障なく無事に冒険者として登録することができていた。



「とはいえ、まずは鑑定能力も高めるために、基礎知識をより徹底しようと、冒険者としての心得とかその他の本を借りたけど…色々あるなぁ」


 アイテムストレージのおかげで書籍を収納するのは問題もなく、まだやり始めたばかりなのもあって、本日は冒険者の初回特典として用意されているらしい、ギルドの特別客室に泊めてもらうことになった。

 それを利用して、せっかくだから冒険者の勉強がしたいと受付の人に相談して、関連書籍をいくつか借りることができたが…割とテンプレな内容が多いようだった。


 

 まず、冒険者は基本的に依頼をこなして報酬を得るのが、日々の糧になる。

 なければその日のお金はないが、ある程度信用がある冒険者であれば最低限の生活費の支給が施されることもあるようで、きちんとやっているのであれば餓死するようなこともない。

 

 その信用を積み重ねるためには依頼をこなしまくり、達成数や質を向上させる必要があるようで、具体的な指標となるためのランク付けもあるようだ。

 ただ、よくあるようなABCとつくらしいが、順番としては下から数えるもの。

 おそらくはどこかで自分と似たような転生者が存在していて、冒険者としてのランク付けに介入した結果決まったのだろうと思われる。


「最初はF、次にE…どんどん上がって、Aから上はSになるのはお決まりというべきか?」


 アルファベット順でいうなら、Sって下のほうにあると思うけど、こういうランク付けの時になぜ上に来るのだろうか?

 まぁ、そのあたりはどうでも良いか。それに、こういうランク付けが制定されていても上に行くための試験などが厳しくなっているようで、現在あるだけでもSランク冒険者は数えるほどしかいないらしい。


「年功序列制じゃなくて、成果主義に近くて、年を重ねてもそのままのランクに留まることもあるのか」


 勝手に上がるのではなく、きちんと依頼をこなして達成し、評価を得ていくことで向上するが、何もしなかったら上がることはない。

 むしろ何もしないというのはやる気も何もないという評価になりやすいようで、ある程度のランクが上がってくると、適度に依頼をこなす必要が出てくるようで、やらなかったら降格していく可能性が大きくなるのだとか。


 若いうちなら良いけど年を取っていったら厳しくなりやすくなるので、たいていの冒険者は二十代後半~三十代前半位のころ合いで人生の指針を固め、冒険者からより安定しやすい騎士やその他職業に転職するらしい。

 それでも続けるのは自身の力に自信がある人や、そもそも冒険者としての生き方以外ができない人になりやすく、腐っていってしまう輩が出ないように職業訓練などが行われたりするらしいが、一獲千金の可能性もある職業ということで、中々成果を上げにくいようだ。


「そのあたりは、今後の活動で考えようかな。妖精の立場を保護してもらおうということで、冒険者になったけど、いつまでもなっているわけにもいかなそうだしね」


 冒険者になってそこそこの地位やつながりを得てしまえば、その後は別に続ける必要もない。

 無理にやることもなく、どこかでゆったりと生活するために過ごすための住処を得るために動くのもありだろう。



「そして他には、この国とかの情報も知っておかないとなぁ…」


 人が集まる場所にいるならば、しっかりとどういうところなのか学んでおく必要がある。

 その国の国民性や気候、その他情勢によって安定しないところもあるだろうし、できるだけ知っておけば鑑定能力の強化につなげられるので、知識を得て損はないだろう。


 そう思いながら借りた別の本を開けば、そこには今いるこの国に関しての情報が記載されていた。


「なるほど…バルス王国か。なんとなくどこかの滅びの呪文っぽい国名だとは思っていたけど、これも若干関係性ありそうか?」


 割とホイホイいるのか、それとも単純に偶然なのか。

 あちこちに似たような転生者の痕跡が見えるようで、過去に何をどうやらかしたのかわかりやすくなっている。

 でも、そのおかげで知識としてはスムーズに頭に入りやすいので良いのだが…何も、善人として過ごしていくような人ばかりではなかったようだ。


「…不老の化け物、戦場の狂鬼、マッドマジシャン…力に溺れてやらかす人も出てしまうわけか」


 この今の生は、人としてではなく妖精としてのものだが、それでも人じゃない力を持つ立場な以上、人としての心だけじゃどこかで溺れる不安もある。

 けれども、こういう前例があるならばどうにかやっていくしかないと、改めて思わされるのであった…






転生者すべてが、ゆったりとした善人として生きていったわけではない

中にはその力に溺れたか、あるいは何かでねじ曲がったような人もいるようだ

そんなことにはならないように、十分心に刻んでおきたいが…

次回に続く!!



…いるほうが、何かと設定でやらかしやすい

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