1-15 人というのは、想像以上にたくましく
SIDE百手のアリシア
…アルモストタウンから離れた場所にある森の中にて、アリシアは確認をしていた。
「状態よし、隠蔽工作でしっかりバレなかったようで…誰も手を付けなかったわね」
その辺の木々の中に紛れ込むように偽装していた、ここへ来るまでに使っていた乗り物…魔馬。
状態を確認し、放置している間に誰も手を付けた痕跡もなく、見つからずにいたことを喜びつつ、乗り込み、起動させて乗り込み、帰路に就いた。
「それにしても、二週間後の再会を約束したけれども…自分の目で見に来て正解だったわね」
光妖精の噂は、アルモストタウンから離れた場所にも届いており、彼女の耳にも入っていた。
もはやおとぎ話のような存在になっていた、妖精というもの。それがどのようなものなのか、耳にした時から知的好奇心が沸き上がり、すぐに行動を起こして直接目にすることができたのだが、噂で聞くものと自分の感覚で全てを確認するものでは、内容の精度がかなり違う。
大体の想像はできていたとはいえ、模擬戦も交えて実力を測ることができたおかげでどういうものなのかよりはっきりと確認することができただろう。
少なくとも、まず最初に言えることとすれば、あの光妖精と敵対するようなことはよほどのことがない限り可能性は低いと言えるだろう。
人の世に紛れ込み、馴染み、楽しみあう思い。妖精だからこそ人とは違う倫理観などを有しているのかと思っている部分もあったが、あの様子を見る限り人に近いものがある。
いや、むしろアレの中身が元人間だといってもおかしくはないのかもしれない。
人とのコミュにケーションはもちろんのこと、素早く武器を出しまくったのに、対応するだけの発想力。
惜しむらくはまだまだ経験が浅いがゆえに、対応の仕方も隙があり、今回模擬戦を挑んで勝利をつかみ取れたが…それでも、臨機応変に対応する速さや、未知の武器に対する対抗策の速さを見ると、人に近いもしくはそれ以上の思考力を持っている可能性がある。
ならば、二週間後に修行に誘うことは、より力をつけることになって万が一の場合、対応できなくなる危険性も秘めているということになるのだが…
「…恐れていては何も進まないし、もっと見せてもらいたいからね」
危険性?それは当然あるだろう。
だが、それを恐れていては何もわからないし、人の知識欲というのは何物にも抑えにくいものであり、興味を抱いてしまった以上、よりどのようなものなのかしっかりと見たくなるものだ。
何よりも、自分と刃を交えて見た相手がまだまだ未知の可能性を秘めているのであれば、引き出してその隅々まで確認したくなる。
「ふふふふふふ…しばらく忙しくなるわ!!ダンス、作法、お勉強、それらよりももっともっと楽しめそうなものに熱中しますわぁぁぁぁぁ!!」
思わず興奮して声を上げる、百手のアリシア。
魔馬に乗って爆走する中、風によってはらりとローブがまたずれてその素顔をさらけ出すも、好奇心に満ち溢れる無邪気な子供のような表情を浮かべており、気にすることはない。
…正直言って、妖精の危険性云々よりも、人の好奇心が滅茶苦茶溢れている彼女のやらかしのほうがよっぽど危険ではないかと、誰かがツッコミを入れる必要があるのかもしれない。
だがしかし、そんな勇気がある者は…冒険者としての異名が百手だけではなく、バルス王国の第1王女にして、『狂気の探求者』の異名も実は持っているアリシアに対して告げる勇気のあるものは、残念ながらこの場所にはいなかったのであった…
割とやばそうなのに目を付けられた気がしなくもない
だが、そんなことに対して対象となっている本人は気が付くこともない
ある意味、知らないことがあるのも幸せというべきか…
次回に続く!!
…マッド?クレイジー?




