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時代遅れの魔女の家  作者: 刻銘
第一章 始まりの洞窟
3/6

1-3

これで一章分終わりです。久しぶりになろう書くのがハマりそうです。

 あのドラゴンと再会を果たした俺は、ドラゴンと雑談していた。


 「全体のドラゴンさんは、全身黒かったのですけど、今は真っ白なのは何故?」


 『亮さん。それはですね、私が死ぬ瞬間上手くこのドラゴンの身体を乗っ取ったからですよ』


 「そんなことできるんですか?」


 「それはですね……」



◇◆◇


 

 この洞窟に来てから、時間感覚がなくなった気がする。


 ドラゴンと多分数時間?話した。


 すると、名前を教えてくれた。ユリというらしい。


 これからは、ユリさんと呼ぶことにする。


 「ユリさん?」


 『……』


 いつもユリさんを呼ぶ時、毎回固まるのはどうしたら良いのだろうか?


 

〜一年後〜



 俺は、ドラゴンを倒せるような新しい魔法を考えている時、ユリさんに話しかけられた。


 『亮さん、この洞窟を出た後何があると思いますか?』


 「魔法なんかあるので、異世界があるんじゃないんですか?」


 『本当に、そう思いますか? これがただの夢の中とかコンピュータに繋げ羅れているだけかもしれませんよ』


 「それは……」


 『亮さん、もっと疑ってください。なんで魔法があって、この洞窟で目が覚めたのか。流され、周りについていくだけで生きていく人は真の魔法使いにはなれません』


 「……どういうことなんですか」


 周りに流されて生きていくとは真の魔法使いにはなれない。


 頭に魔法をかけてもっと思考をはやくする。





 多分こういうことだろうか?


 魔法は体内の魔素の量、魔素の操作も大事だが、想像、閃きが大きく関わる。


 魔法はなんでもできるが、なんでもはできない。


 それは、魔法がどうやったら使えるかが鍵になる。


 魔法は、頭の中でイメージしたことを、魔素を動かすことで使える。


 つまり、自分の考えられないことを魔法で行うことはできないのだ。


 なので、自分が周り、ここではこのユリさんの言うことをなにも疑わずにしっかりと自分で考えないで、従っていた。


 だから、俺はユリさんよりも強くはなれないし、ユリさんよりも多くの魔法は使えるようにはならない。


 もう一度考えると、この考えがしっくりと自分にハマった。


 ユリさんは、俺に二年間魔法を教えてもらってきたが、私の意見だけを聞くなよという、忠告なのだろう。


 「忠告ってことですか?」


 『まぁ、そんな所です。ところで、話は変わりますが、『ニーチェ』を聞いたことがありますか?』


 「あの、神は死んだって言った人ですよね?」


 俺は、理系で数学を狂ったようにやっていたからあまり知らないが、倫理のテストで出てきた気がする。


 『そう、その人です。あなたは、周りと同じで嬉しい、いや安心するといった感情を覚えますか?』


 「えっと、例えば?」


 『そうですねぇー……質問はありますかと聞かれて手を挙げようとしたけど自分は周りが挙げていなかったから、質問をしなかった時はどうでしょうか?』


 「す、少しだけ安心しちゃいます」



 『そのようなことも考えたのがニーチェです。周りと同じになろうと均質な人の集団をヘールデ、つまり畜群と呼びました。周りと同じが『善』、周りと違うのが『悪』という価値で判断する集団ですね』


 「それは、なかなか、いってますね」


 『ふふ、まぁ、そうですね。そして、私たちは言葉で縛られています」


 「えっと、つまり?」


 『これはニーチェではないのですが、人は言葉を使って生きているのでその語彙にないことを考えられないってことです』


 「………?」


 『まぁ、そうですよね。これを見てください』


 そういって、ユリさんは魔法を使った。



 一瞬のうちに一年前にいた空洞とここが洞窟の壁を溶かしながら貫通してしまった。


 物凄いという言葉では済ましてはいけない熱量だ。


 「……これは?」


 『亮さんは、今のを見て何を思いましたか?』


 「すごい魔法だなって」


 『どうやったかわかりましたか?』


 「……全然」


 悔しいが全くわからない。説明してくれればわかるだろうが。


 『これは核爆破魔法です。が、こちらの世界では核がありません。なので、広範囲殲滅魔法というしかないのです。この意味、わかりますか?』


 この意味がわかるとは……


核爆破魔法と広範囲殲滅魔法。


 この世界の言葉をあまり流暢に喋れない(二年もあるのでしっかりと勉強させられてます……)が、どこか違う気がする。


 一番違うのは核が入っているか入っていないかだが……




ーー『これは、ただの余談ですから、そんなに気にしないでください。亮さん、続きを始めますよ』


 ちょっと悔しい。はやく答えが知りたい。


 『ちょっと、不満そうな顔してますね。この答えはいつか教えますよ。先は長いですからね』


 そういって俺は核爆破魔法を教え込まれるのだった。


 この話は、面白かった。これから生きるのに意識が少し変わった気がする。どこか、役に立つだろう。


 というか、ユリさん詳しいな!



〜三日後〜


 「ユリさんいきますよ!」


 『ふっ、亮。次の階層で待っている』


 「なにちょっとラスボス感出してるんですか! ていうか、ユリさんってそういうことも知ってるんですね……」


 『あんまり詳しくないですが知っています。はやくやっちゃってください』


 「じゃ、いきますよ。核爆破魔法!」


 そういって、俺はユリさんを解けて蒸発し、なくなるまで吹き飛ばしたのだった。




・・・次の階層へ移動中・・・

 



 「着きましたよ、ユリさん……あれ?」


 そこにいたのは、あの二年前に救ったあの学生だ。


 だが、そこには、今まで見ていたあの白いドラゴンの角と尻尾が付いている。

 

 「亮さん、これが私の本当の姿です。私に勝てばこの洞窟から出られますよ?」


 「……って、戦うんですか!?」


 「そうです。あ! 安心してください。ここでは、溶けてドロドロになったとしても死にませんから!」


 「そんなこと言われても困ります。素直に死にたくはないですけど、ドロドロは嫌です!」


 「私も初めては辛かったけど大丈夫……ですよ?」


 はぁ……帰りたい。


 「そんなことはいいのです。どうですか?」


 「え、なにがですか?」


 『亮さん……私今まで、ドラゴンの姿でしか会ったことなかったんですよ! それに………………あの時助けてもらいましたし……!』


 「そういうことならそうといってくださいよ」


 「なんで亮さんはそんな平然としてられるのですか!? もっとこう、驚いたりとか、嬉しがったりとかしないんですか!?」


 「なんかもう、二年もここに閉じ込められてるし、どうでもいいや」


 「そんなこと言わずに……ね?」


 「正直びっくりはしましたよ。ただ、それなら今すぐここから出してくれませんかね? 


 二年ですよ、二年!


 腹も減らないし、眠くならないし、性欲がなくなるのは正直嬉しいですけど、いまから寝てくださいと言われても寝れないと思いますよ!


 飯の食べ方とか飲み込み方とか忘れてるかもしれないとすら思えますよ!


 太陽でいいから浴びさせてくださいよ!」


 「亮さん、それは、師匠に言ってください。私はどうにも出来ません。さっさとここを出れば問題ないのですよ! まぁ、私も負ける気ありませんけどね!」


 「師匠って誰ですか。文句いいにいきたいんですけど……」


 「勝てば会えますから、ね?」


 「はぁ、俺はどうしたらいいんですか?」


 「一発魔法を当てれば勝ちです。行きますよ!」



 あ、魔法の発動速すぎない? 思考加速使っても間に合わないとか……


 あっ、死んだわ。


 そのファイアーボールはまずいって!


 あっつい! 焼ける……



  一敗



 「亮さん、次行きますよ〜!」


 やっぱ、スパルタだわ。誰か助けて!



・・・十分後・・・



 十回くらい死んだんじゃないか?


 いや、死んではいないけど、燃やされて、埋められて、水の中で溺れさせられて、床をなくして高所からの落下。


 人間のすることじゃないだろ!

 

 自殺しようとして助けようとしていた子だぞ!


 しかも、ユリは嬉しそうににっこりと頬を赤らめているし……


 今じゃなきゃ、絶対可愛いのになぁ……


 あ、ユリじゃないです、ユリさんですよ!


 別に、憎しみで呼び方変わったわけではないです……


 「亮さん、なにボーッとしてるんですか。次行きますよ! ちゃんと考えて動いてください!」


 いつになれば出れるのだろうか……




〜一年後〜




 「次いきますよ!」


 「次こそは勝ちます。覚悟してください!」


 そういうと、ユリは俺を炎の壁で囲う。


 視界と場所を奪っていく戦法だろう。そこに俺は設置型の感知魔法を置く。


 どこだ、どこから来るんだ……


 「下か!」


 俺は、感知が遅いことから洞窟の下と推測する。そして、土ごと炎で焼き尽くそうとするが、危うく止める。


 これをして何回死んだことか。これをしたら、魔法の制御を人間業とは思えない速度で奪い、暴発させられて死ぬ。


 なので暴発しても平気なラインギリギリを狙って魔法を発動。相手を誘う。


 かからない。さすがユリだ。


 幸い、地面に埋まっている状態から即死するようなことは少ない。少ないだけだが……


 俺は今まで練習を重ねに重ねてきた同時に魔法を使う技術で、暴発したら死ねる魔法を発動しながら、相手を地面を貫通して確実に倒せる魔法を発動させる。


 これはうまくかかったようだ。ユリの魔法の乗っ取りの魔力から場所を特定する。


 そのままもう一つの魔法を打ち込む。無理か。当たらなかった。


 ユリはそのまま地上にでて、剣を作り襲いかかってくる。


 俺も剣を作り必死に対応する。


 流して一発魔法を当てれば勝ちだ。


 ユリがどんどんと攻めてくる。


 魔法と剣の牽制をしながら、確実に殺す手だ。


 魔法、剣、剣。縮地の回り込み。


 全てを完璧にこたえる。


 読んだ。


 相手の縮地に合わせて、トラップ魔法を仕掛ける。


 縮地で消えている瞬間は魔法を使えないことを利用した戦い方だ。



 「!! 読まれたか……」

 


 よし! 当たった。一年かかったが、俺の勝ちだ。癖を読んで勝つという訓練になるのかわからない勝ち方だが……


 「ふぅ……亮さん」


 ユリさんは、戦闘になると話し方が変わる。俺もどこかでそうなってしまうのかと思ってしまう。


 「亮さん?」


 「あ、はい!」


 「もー、すぐにボーッとしちゃうんですから! とにかく、ここから出れますよ。三年かかりましたね」


 「そうですね。やっとですね!」


 「色々言いたいこともありますが、はやくここから出てしまいましょう!」


 「そうですね!」


 そうして三年間いたこの洞窟を出ることになった。





 洞窟を出るとヨーロッパぽい部屋に出てきた。


 そして、そこにいたのは、耳と尻尾の生えた人間がいた。


 「待っていたのじゃ、ユリ、アキラ」



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